『Dynamite!!』で他に気になるカードを訊くと、KIDは「シュルト、すげーッスよね!」と、アーネスト・ホーストVSセーム・シュルトに興味を示した
 意外なほど、山本“KID”徳郁はリラックスしていた。12・31『Dynamite!!』のミドル級世界最強王者決定トーナメント決勝戦で須藤元気と闘うまで、そんなに日があるわけでもない。この時期、大抵の選手はピリピリとしているもの。にもかかわらず、取材場所のKILLER BEEジムに足を踏み入れると、驚くことにKIDは笑っていたのだ。

「今はケガがないように。ケガと風邪にだけ気をつけて、当日にベストで臨めれば」
そういって、KIDは目を細めた。リラックスした彼を見ていると、大一番が目前に迫っていることを忘れそうになってしまう。
 だが取材中、そんなKIDの殺気が一瞬だけ放たれる場面があった。撮影の合間に、彼が愛犬のソニーと戯れていたときのことだ。突然、ソニーがジム内を縦横無尽に走り回り、弾丸のような勢いでKIDに向かって突進する。その瞬間、KIDが目線を低くし、キッと鋭い眼光を放った。たまらず萎縮し、ソニーは地面に伏してしまう。気付けば、KIDの表情は笑顔に戻っていた。リラックスしているように見えて、KIDのなかではふつふつと闘志が燃えさかっている。すでに、闘いは始まっているのだろう。

「今は打撃とレスリングと寝技を、バランスよくやっている。打撃はキックのジムで磨いて、残りはKILLER BEEで後輩たちと。トリッキーな技の対策はビデオで見て、どういうタイミングで来るとか、どこの場所でそういうことをやってくるか、ちょろっと見れば大丈夫。気付いたこと? それは言えない」
 人差し指を口の前で立てながら、KIDは豪快に笑った。では、気付いたことを活かして闘えた場合、須藤はどうなってしまうのか? ほとんど間を置かず、KIDが答える。
「とりあえず、殴るだけですよ。ただパンチを当てていけば、自然に倒れてくれる。気が付いたら、2006年になっているんじゃないかな。今年は、オレのパンチが目の前に来たところで終わる(記憶が飛ぶ)」

 じつに過激なコメントだが、「別に試合前に相手にプレッシャーをかける必要はない。そこにウェイトは置いていないから」というKIDにとっては挑発でも何でもない。ただ、思ったことがダイレクトに口から出ただけなのだろう。つまり、KIDには絶対の自信があるということ。試合当日の彼は、心身ともに過去最高の状態にあると考えてよさそうだ。
昨年末の『Dynamite!!』で行なわれた魔裟斗VS KIDというドリームマッチに続き、今回も須藤と珠玉の対決が行なわれる。

 まさに、KIDは時代の寵児だ。
「オレは修斗を始めたころから、こういうの(ミドル級の時代)が来ると思っていた。昔は(違う階級で)『何だコイツら?』っていう人も出ていたけど、見る気がしなかった。ぜってー、こんな奴ら消えるぜって。そんな奴らが、金儲けてるのはおかしい。みんなのお金をもらって闘っているわけだから。ぜってーオレらみたいに死ぬ気でやっている奴の方が、上にあがる。K-1 MAXに出てる奴らは、たぶん、みんな本物だと思う。ハンパないと思う。だから、みんな面白いカードになる。本物同士が闘っているからね」
 そう語るKIDは、須藤元気との闘いで、昨年の魔裟斗戦と同様に、大晦日のヒーローになる可能性は高い。最高のKIDが、最高の相手と、最高の舞台で拳を交える12・31『Dynamite!!』。空前絶後の“本物の闘い”を、絶対に見逃すな!■

試合前のやり取りについて、KIDは「心理作戦? 別にプレッシャーをかける必要はない」と語っている。過激な発言は、彼にとっては裏表のないものなのだろう

先日、『週刊少年サンデー』に掲載されたマンガ『山本“KID”徳郁物語』を見て、KIDは「面白いですね。けど、照れくさい(笑)」と感想を語った


KIDが一喝すると、さっきまで大暴れしていたソニー君がすぐにおとなしくなった。撫でられているソニー君はホントに嬉しそう…

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