2月18日、ディファ有明/『ZST.9』

『ZST.9』の会場となったディファ有明には、超満員の観客が詰め掛けた。所英男が3月15日の『HERO'S』、レミギウス・モリカビュチスが4月5日のMAX世界一決定トーナメント開幕戦の前哨戦をホームリングで行なう。その反響は、予想以上に絶大だったようだ。谷川プロデューサーや前田日明『HERO'S』スーパーバイザーがリング下で見守るなか、まずレミギウスがリングに上がる。

 レミギウスは2月4日のMAX日本代表決定戦で我龍真吾と闘い、K-1史上最短となる8秒でKO勝ちを収めたばかり。勢いに乗る彼は、当然この日も打撃に活路を見出した。対戦相手の稲津航は、打ち合いを警戒してグラウンドへ持ち込む。そして、そのまま三角絞めへ。一度は、ガッチリと極まったかのように見えた。だが、レミギウスは何事もなかったかのように頭を抜いて立ち上がる。そして次の瞬間、レミギウスのワンツーが火を噴いた。右ストレートをまともにもらった稲津が、後方へ吹き飛ばされる。その瞬間、会場全体に凍りつかせるような衝撃を走らせた。そしてどよめく場内に、レミギウスがさらなる爆弾を投下した。
「マサトと闘いたい。タニカワさん、マエダさん、お願いします」
 なんと、レミギウスはMAX世界大会開幕戦の相手に、魔裟斗を指名したのである。このコメントに、観客は一斉に沸きかえる。リング下の谷川プロデューサー、そして前田スーパーバイザーは拍手でレミギウスの勝利を称えた。果たしてレミギウスの宣戦布告は、どこまで反映されるのだろうか!?

 そしてレミギウスの快勝を受けて、メインイベントに所英男が登場した。『HERO'S』や『Dynamite!!』での活躍でシンデレラボーイと化した彼に、大きな声援が降り注ぐ。
 そんな彼の前に立ちはだかったエリカス・ペトライティスは、昨年11月に母国リトアニアで大河内貴之を一方的に殴り倒すなど、急成長を遂げている選手。所とは過去に3戦3敗という戦績を残しているが(うち1戦はタッグマッチ)、油断はできない。
 だが、所の動きが重い。普段の軽快なフットワークは鳴りを潜め、スリリングな打ち合いをエリカスと繰り広げる。グラウンドで下になっても、極めきれない。チャンスを掴めないまま、所は徐々に失速していった。そして2R終盤、コーナー際で捕まりヒザ蹴りの連打を浴びてしまう。そして、KO負け。持ち味を発揮する前に、所がまさかの黒星を喫した。

「集中力がすぐ切れて、ダメなパターンになってしまいました。体は作ってきたんですけど、心が作りきれなかったです。理由はこれから考えます。反省はしなきゃいけないですけど、負けてクヨクヨしていても仕方ないですから。今年は全部の試合に出ることが目標なので、3月の『HERO'S』には出ます」
 敗戦の弁を述べた所には、意外なほど悲壮感がなかった。すでに気持ちは切り替わりつつあるのだろう。もともと彼は、負けてもその度に這い上がってトップになった選手。3月15日、所はそんな気迫の真骨頂を見せてくれるはずだ。
 くっきりと明暗が分かれる格好となったレミギウスと所。レミギウスは4・5MAX世界大会開幕戦で魔裟斗に牙を剥き、所は3・15『HERO'S』代々木大会で復活を目指す。■


>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

>>『Sammy Presents HERO'S 2006』チケット購入はこちら


KOを収めた直後、レミギウスはコーナーに登って雄叫びを上げ、魔裟斗への対戦をアピールした。4月5日も、こんな光景が見られるかもしれない

フィニッシュのワンツーで、対戦相手の稲津は吹き飛んだ。レミギウスの打撃の破壊力が窺い知れる


観戦に来ていた前田スーパーバイザーも、レミギウスのあまりの強さに脱帽。『HERO'S』への再出撃も、また見たいところだ


昨年から快進撃を続けていた所だが、この日は動きが悪かった。本来の調子を出し切る前に、ヒザ蹴りの連打を受けて敗れてしまう

試合後、『HERO'S』に出撃することを改めて誓った所。今回の敗戦を糧に、名勝負製造機は出直しの舞台で稼動するはずだ


この日のセミファイナルには、MAXで小比類巻貴之や安廣一哉と闘ったダリウス・スクリアウディスも出場した。小谷直之を打撃で追い詰めたが、勢い余って反則のヒジ打ちを見舞ってしまう。その後は決め手を欠き、時間切れドローに終わる


Copyright (C) 2006 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2006 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。