――宇野選手が最後に試合をされたのが、昨年9月の『HERO'S』でした。3月15日の『HERO'S』は半年ぶりの試合ですが、この間は何をされていましたか。
宇野 練習していました。年末の『Dynamite!!』も試合があると思っていたけど、組まれなかったので。
――前回、山本“KID”徳郁選手に負傷TKOで敗れてから、練習方法は変えましたか。
宇野 いや、普段通りの練習です。ボクシングをやって、ウェイトをやって、スパーリングをやるだけ。練習量も、いつも通りです。

――試合を前に、平常心を維持できているのですね。ただ対戦相手のリッチ・クレメンテ選手は、UFCやZSTに出場した経験を持つ強豪です。
宇野 ZSTでの試合を映像で見ましたけど、総合の強い選手という印象です。柔術系とかレスリング系とか、どちらにも偏らないタイプですね。現状の総合格闘技の進化しているものを持っている選手だと思います。
――スタンダードな技術を全部持っていると。
宇野 そうですね。立ち技も寝技も持っている選手だと思います。
――何でもできるという部分では、宇野選手に近いかもしれませんね。
宇野 そうですかね…。あんまり、そういう印象はないですけど。体型も違いますし。ただ、総合的にできるバランスのいい選手だという印象があります。まだ時間もあるので、これから周りの人と話し合って、じっくり研究します。
――クレメンテ戦は、今年最初の試合でもあります。何か、心がけていることはありますか。
宇野 前回から半年くらい試合をしていないですからね。そういう部分で、これまでに練習した成果をまた出せればなと思います。溜めてきたものというか。年末は試合に出られなかったですけど、テレビ中継の解説をさせていただいたことも、すごく勉強になって良かったですから。そういう部分を、全部ぶつけたいと思います。

――半年も試合期間が空くと、早く試合がしたいと思うのですか。それとも、不安になるのでしょうか。
宇野 どうでしょう…。とくに、気持ちに変わりはないですね。ただ、楽しみです。日本武道館という会場でできることも、すごく楽しみです。
――先ほど解説の話をされていましたが、『Dynamite!!』のメインイベントは、『HERO'S』の世界最強王者決定トーナメントでした。KID選手と須藤元気選手が闘っているのを間近で見て、どう思いましたか。
宇野 やはり、正直な気持ちは出たかった。決勝に自分が立ちたかったなという気持ちはありました。ただ、ああいった形で中量級の選手が世間に見られるということは、総合格闘技にとってもすごい年だったと思います。
――あの決勝の舞台に、もしかしたら宇野選手は立っていたかもしれない。自分が上がっていたらと、照らし合わせた部分はありましたか。
宇野 負けたんで、そういう部分はあまり持たなかったです。ただ、山本選手と対戦したらこういう形でいったらいいのかなとか、須藤選手と対戦したらこういう場合でどうだろうとか、シミュレーションというか、解説をしながら考えた部分はありました。
――もしも、今年も『HERO'S』のトーナメントがあれば、決勝の舞台に自分が上がっているような姿も、シミュレーションしましたか。
宇野 いえ、全然そういったところまでは考えつかないです。一戦一戦、決まったことに対してやるだけですから。トーナメントが決まったら、そう思うかもしれないですけど。あまり先のことは考えないようにしています。
――一戦一戦を目標にするだけで、モチベーションは維持できるのですか。
宇野 タイトルが防衛戦形式になるのであれば、前から言っているように山本選手のもとにたどり着けるような目標は立てますけど、形式がどうなるか分からないですから。山本選手のタイトルには挑戦したいですけど、その先はまだ。とりあえず一戦一戦をこなして、ちゃんと発言権のあるところまで行くことですね。

――クレメンテ戦は、そこに繋げるための闘いなのですね。それと“先”ということですが、最終的な目標は何ですか。
宇野 強くなりたいです。それは、昔から変わらず。
――強さの理想形というのは、どういったものです。
宇野 よく分からないです。どうなんでしょう。打撃もできて、総合もできる。総合で10点満点を取れるような選手になりたいというのは、あります。でもまだ、そこまでは全然(苦笑)。寝技も強い人がいっぱいいますし、打撃でも強い選手がいっぱいいる。そういう部分でも、まだまだ足りないです。10年経っても。
――今年でプロ生活10周年を迎える宇野選手でも、まだまだですか。
宇野 はい。まだ、10点満点のうち半分くらいだと思います。5点、6点くらいですよ。
――宇野選手が5点ですか…。目標が高いですね。
宇野 昨日も後輩にボコボコにされましたから。そういうのを思うと、まだまだだなって(苦笑)。
――練習とはいえ、宇野選手が後輩にやられている姿は想像がつきませんね。
宇野 でも、やられましたからね。強い選手は、いっぱいいると思いますよ。

――さすがは“総合格闘技界のパイオニア”。気持ちが強いですね。さて、今回は06年最初の試合でもあります。クレメンテ戦をキッカケに、どのような一年を迎えたいですか。
宇野 去年、ケガをして7月の『HERO'S』を欠場してしまったんですよね。選手生活で、初めて出場が決まっていながら欠場してしまったので。だから今年は、ケガをしないように練習を一生懸命やって、いい試合をつねに心がけてお客さんに伝わるように自分らしいスタイルを出せればと思います。
――よく宇野選手は、お客さんを意識された発言をされていますね。そう考えるようになったキッカケは、何だったのでしょうか。
宇野 試合が膠着しているとつまらないと思いますし、お客さんもお金を払って見に来てくださっているわけですから。そのお金がファイトマネーになって、自分たちが仕事をさせてもらえるわけですよ。そういった部分では、少しでも人が楽しめるような、面白いと思ってもらえるような試合をしなきゃいけないと考えています。僕もプロレスや総合格闘技が好きでしたから、そういう部分の気持ちも強いのかもしれないですね。
――プロでありながら、ファンの目線でも見られるわけですね。
宇野 そうですね。いろいろな経験をさせてもらっていますから。今は逆の立場ですけど、そういった部分でも満足してもらえると思います。たとえば、ちょっとした動作でもすごいと思われるようなテクニックを出したいです。それは大技をいっぱい出すというわけではなくて、ちょっとしたことであっても。
――細かいところでも魅せられる。
宇野 そういうことを目標にしています。3月15日の『HERO'S』に限らず、細かい動きを魅せたい。お客さんに伝わる試合をしたいですね。■


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『HERO'S』の記者会見の席で、前田スーパーバイザーは「山本(KID)君の第一の挑戦者は、宇野君が面白いと思う」と語った。再戦を実現させるため、宇野は打倒クレメンテを誓う!

“武道の聖地”日本武道館で試合をすることに、宇野は感慨深いものがあるという

リング外でもショップを経営するなど、宇野は多彩な才能を見せる。大会当日は、自分もデザインに携わったコスチュームを着てくるという


“総合格闘技界のパイオニア”が、今回の試合をキッカケに頂点獲りを狙う!


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