──さて、今日は今年最初のイベントとなる3・15『HERO'S』のテーマなどお聞きしたいと思います!
前田 今回の大会はいろんな意味で去年よりレベルアップした日本人選手と、外国人選手の闘いになってくるね。外国人選手でも日本では名前は知られてないけど、凄い強豪ばっかり揃えたから。カラム・イブラヒムとか金メダル獲った実力者もいるし、(アントニオ・)マッキーっていう選手もホント凄いからね。ロスで見つけて来た選手なんだけど、ねちっこいグラウンドテクニックも持ってるし総合力も高い。他にもオーレ・ローセンとかオランダでタイトル持ってる選手もいるし、日本人選手はいきなり危ないんじゃないかな。
──なるほど! それでは現在決まっているカードの見所を順番にお聞きしたいと思います!


<秋山成勲VSカラム・イブラヒム>
前田 この試合はね、秋山がイブラヒムの総合力をどこまで削いでいけるかだね。イブラヒムは地力のある選手なので、秋山がどこまで自分のリズムで闘っていって、うま〜く打撃でリズムを壊していって、グラウンドに持ち込むか……。でも秋山はね、自分では気付いていないけど、もの凄いパンチ力あるからね。あのパンチを磨いたら相当のモノになると思うんだよね。
──柔道VSレスリングという見方からするとどうですか?
前田 レスリングは決める技術を持ってないからグラウンドでは柔道が有利だと言えるけど、今回は体重差もあるし、イブラヒムは一発当たると秋山が動けなくなるくらいのパンチ力もあるしね。でもまだ大振りのパンチしか打てないから、秋山はかいくぐって接近してってタックルかテイクダウンすれば楽に闘えるんじゃないかな。
──イブラヒム選手は前回の藤田戦では実力を出し切れなかった感がありますね。
前田 そう、二度あることは三度ある! 藤田がやったあの戦法──大振りの“マイティ・モー・パンチ”、また当たるかもしれないよ。あれ避けてもタックルに頼ることになるし、外してもガブれなくなるから、あのパンチが結構この試合に関してはキーポイントになるんじゃないかな。
──なるほど、“マイティ・モー・パンチ”ですか!
前田 でもイブラヒムも馬鹿じゃないから、次の試合でやってくると思うんだよね。もう先手の取り合いだよ。どっちが仕掛けるか。だからどんどん仕掛けることだね。昔の剣士の勝負で言う“一の太刀”の勝負だね。最初の一太刀で決まっちゃうような試合になると思うね。
──イブラヒムは相当悔しがってたみたいですね。
前田 あのパンチは曲者なんだよね。ヘッドダウンしたところとか、タックル来たところにもカウンターで当てやすいからね。イブラヒムも狙ってくるだろうから、だから、一太刀なんだよ。試合の中でバッと止まって、ブレーキした時とか、ストップから立ち上がる時、そういう時に仕掛けるか。そのチャンスが多い方が勝つって感じだね。一瞬で決まる勝負だから目が離せないよ。
──意外と寝技には展開しない?
前田 うん、寝技には……イブラヒムのほうが寝技でグズグズしてると腕十字とか取られるから付き合わないだろうね。なおかつ前回、打撃でやられちゃってるから、ムキになって打撃勝負で来そうな気がするけど。この試合はメイン候補の一つだね。


<須藤元気VSオーレ・ローセン>
前田 オーレ・ローセンは写真見ても分かるとおり一撃の強さを持ってるんですよね。キックから転身したといっても、テイクダウンの対処法とかもかなり研究してくると思うんですよ。だからそう簡単にはいかないかもしれないね。
──シュートボクシングでも試合したことある選手ですね。
前田 そう、相手は元気君だし、ファンには分かりやすい試合になるんじゃないかな。彼はまた今回何か考えてるようだし、楽しみですよ。


<宇野薫VSリッチ・クレメンテ>
前田 リッチ・クレメンテはね、けっこうねちっこいグラウンドするんですよ。だからそれを、どう宇野君が崩していくのか。だから総合力の闘いですよ、これはね。
──チームブードゥーってことは、カーター・ウィリアム選手と同じジムですね。
前田 ってことはブードゥー教の人形で何かやってるかも分からないよ(笑)。宇野君はさっき(2/16記者会見)もスーパーマンのクラーク・ケントみたいなメガネしてたけどね、あんなカッコしてたら、すぐにカツアゲされちゃうよ? 「金貸せー」「持ってません」「飛んでみぃ」(ジャラジャラ)「持っとるやんけ」なんつってね。
──前田さんがよくカモにしちゃうタイプですか?(笑)
前田 そうだよ、あんなのエライ目に合うよ。でも、宇野君だったら金出すフリしてパンチ出しちゃうとか(笑)。実際は強いからね。まぁでも、この試合は結構テクニカルな攻防が見られるんじゃないかな。
──クレメンテ選手は日本初登場ですか?
前田 いや、『ZST』で一回やってる。ねちっこくてスキが少ないから、宇野君にとっては強敵。この選手を皮切りに宇野君には世界中の強敵をバンバン当てていきたいね。


<宮田和幸VSイヴァン・メンジヴァー>
前田 宮田君は今、打撃のほうに重心置いて練習してるからね、さっきの秋山VSカラム戦と同じようにタックル活かしてうまくしていったらいいと思うんだよね。
──今年は結果がほしいですよね。
前田 うん、宮田君なんか「なんでこんなことできるの?」ってくらい身体能力を持ってる人だからね。たぶん、何かのきっかけでガラッと変わると思う。今は思うようなことできなくて自分の中で空回りして、試合の中でも躊躇するような動きが多いんだよね。ココでガツーンと勝つと今年は爆発するかもしれない。
──それには打撃がポイントになります?
前田 彼に関しては打撃は心配ないんですよ。なんでかっていうと、動体視力も凄く良いし身体の反応も全然他の人と違う。だから、今まで打撃をモロにもらったことはないんですよ。ただ、グラウンドになった時にモタモタすることがあるんで、そのセオリーをきちっと飲み込んでいけばいいと思うんですけどね。試合にも慣れてきたし、今年は大飛躍してほしいね。
──相手のメンジヴァー選手は?
前田 パンチやキックでアグレッシブに攻める選手なんだよね。パンクラスではジャーマンとか投げ技も出したりする怪物みたいなヤツだよ。


<山本宜久VSキム・ミンス>
前田 キム・ミンスは負けが込んでるんで、捲土重来を期して山本を全力で倒しにいくと思う。山本は1年以上試合してなかったから、練習でスパーリングやってるの見ても、緊張して身体が固まっちゃってるから余計なところに力が入ってるんだよ。スタミナロスするから、そういう部分は心配だよね。
──キム・ミンス選手は昨年11月に韓国で試合してますよね。
前田 そこで勝ってるから気分的には楽だし、彼の持ってる体幹の強さでもってグラウンドに引きずり込まれるとやっかいだなと。ただ、アマチュアでやってた選手によくあるのは序盤戦でダッシュしてペース配分誤って、5分過ぎくらいにスタミナが切れてダウンしちゃうことが多いよね。ミンスはまだそういう硬さが残ってるし、あとパンチ打つ時にアゴが上がっちゃう。山本がそれに対してどう自分の試合を組み立てるか。
──山本選手は大変な交通事故に遭っていたそうですね。
前田 自転車に乗ってたらクルマにはねられたんだよ。はねられた時に勢いが付いてて自転車ごと飛ばされて、肩からダーンと落っこちたんだけど、受け身を取ったから助かった。
──普通の人間だったら…。
前田 普通の人間だったら首の骨折って終わりだよ。今回は準備も万全にしてきてるから、ミンス戦でプロの凄味を見せてほしいよね。


<大山峻護VSメルヴィン・マヌーフ>
前田 メルヴィン・マヌーフはゴリラみたいな顔したヤツなんだけど、オランダでレミーをKOしたことがある選手。彼みたいなのはダッシュ力っていうかさ、ウワーッていう勢いが凄いんだけど、それを凌ぐとカクンッてくるんだよね。でもそこでヘタにジタバタすると、良いのをもらっちゃう危険性もある。
──大山選手はそういうタイプが苦手な部分もありますよね。
前田 それが心配だけど、落ち着いてやれば大丈夫。でもレミーからダウン奪うような選手だからね、かいくぐってテイクダウン取りにいくことですね。


<國奥麒樹真VSアントニオ・マッキー>
前田 このマッキーっていうのが曲者で、打撃もけっこうできるしね、グラウンドも今までと違ったちょっと変わった技をやる選手なんでね。俺らが見ても「あ、こんな技あるんだ」っていうような。だから気を付けないと粘られて消耗戦になるかな。
──國奥選手は11月の韓国で勝って以来の試合ですね。
前田 彼も去年1年やって、やっと勝利挙げて。でもどんな選手とやっても押し切られるってことがなかったのがさすがだなと。本来の彼の実力が出てくると、マッキーも強豪なんですけど良い試合になるかなと。


<所英男VS X>
前田 所とは毎日一緒にトレーニングやってるんだけど、体重2キロ増えたよ。
──どんな極秘特訓をしてるんですか?
前田 総合格闘技の盲点といえるような技術をやってますよ。たぶん、それをしばらくやってたら、あっという間に禁止になるような技。裏技っていうかね、ブラジリアン柔術の枠から外れてないし、そんなに大したことはないんだけど。いつも自分で見てて「なんでコレやらないのかな、アレやればいいのに」っていうのがいっぱいあって、それを教えてる。
──反則ギリギリですか?
前田 反則じゃないけど、「なんでコレ認めてるのかな」っていう。じゃ、禁止される前にやっちゃおうと。
──所選手はそれができるようになってきたんですか?
前田 徐々になってきた。
──目に見えて分かりますか?
前田 うん、なんでこれが効いてるの?って感じだと思う。
──フィニッシュ技になりうる技ですか?
前田 うん、うまくいけばドクターストップ。一つの技はね。
──ほ〜、楽しみですね。前田さんから見て所選手は?
前田 彼の良さは一にも二にも思い切りの良さ。バックブローでもダウン奪ったしね、打撃のセンスがあるんですよ。あれも俺が教えた技の一つで、完璧にできてればあそこでテンカウントだった。グラウンドでも下から攻める技術も持ってるからね、このメンバーでも上位に来ると思うよ。ホイス戦も勝つことはできなかったけど、将来に期待が持てたしね。
──その対戦相手“X”ですが…?
前田 それはもちろん世界で発掘した未知なる強豪を当てようと思ってます。

 


<今後の展望に関して>
──今年はミドル級トーナメントも開催する予定ですか?
前田 時期を見てやりたいですね。6月からは韓国とアメリカでのプロモーションをぼちぼち発表できるようになってくると思います。韓国とかアメリカを予選にして、勝ち上がった選手を集めて日本で試合させることになるかな。『HERO'S』をK-1でやってるWGPのスタイルにしようとしてるんでね。アメリカ、韓国まわって、秋にはオランダで大きい大会あるし、順繰り順繰り回してって。
──では、今年は世界戦略への第一歩として、世界中の強豪を日本に集めるわけですね。
前田 そう、それで“世界最強の男は『HERO'S』が決める”ってね(笑)!
──どっかで聞いたキャッチコピーですけど(笑)。あと、注目のKID選手の防衛戦の相手ですが……?
前田 いっぱいいますよ。どれにしようかなって、楽しみです。
──85キロ級のトーナメントもやることが決まってるんですか?
前田 決めてますね。85キロ級どころか、130キロ以上のスーパーヘビー級もできるよ。「それ反則でしょ」っていうのがたくさんいるからね。ヘビー級の選手では、女の子に受けそうな外国人の金髪の男前いるからね。顔は若き日のポール・ニューマンを甘くしたような感じで。スパーリングを見た時に、凄く早い動きの選手がいて90キロくらいかなと思ったら「120キロです」って言われてビックリした。その時は総合の練習はじめて3カ月だったから、もう1年くらい経ってるしね。
──それは凄く楽しみです! では、前田さんの今年の目標は何ですか?
前田 それはやっぱり世界中からさらに選手を発掘していって、新風をどんどん入れていく。あとは、核になる日本人選手を強化していく。
──では、プライベートでの目標は何かありますか?
前田 ん〜〜〜、藤原紀香さんと井上和香ちゃんと一緒にメシ食いにいきたい!
──は、はい、分かりました! では最後にファンへのメッセージをください!
前田 また今年も引き続き世界中から選手を発掘して、K-1・FEGルートと自分のルート、2つを使って選手をたくさん連れてこようと思ってます。みなさんがビックリするような選手を連れてくるので、期待しててください。■




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『HERO'S』スーパーバイザー・前田日明氏が、3・15『HERO'S』の見所をズバリ斬った!

昨年のミドル級トーナメントに加え、今年は新たにヘビー級とスーパーヘビー級のトーナメント開催を視野に入れているという

海外勢には日本初お目見えの選手も多い。前田スーパーバイザー自身もワクワクしている様子で見所を語っていた


これが前田氏がLAの道場で見つけてきたアントニー・マッキー


グラウンドでは珍しい技をたくさん持っているというマッキー。國奥戦が楽しみだ!

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