2月27日、K-1オフィシャルジム/『Sammy Presents HERO'S 2006』(3月15日、日本武道館)秋山成勲、公開練習

「総合格闘技の経験は自分が上かもしれない。でも、瞬発力、柔軟性、身長、体重…、全て向こうが上だと思います」
 3・15HERO'Sで闘うカラム・イブラヒムのことを、秋山成勲は公開練習の席で絶賛した。無理もない。アテネ五輪のレスリングで金メダルを獲得し、50年ぶりにエジプトにメダルをもたらした男である。一方の秋山は柔道時代にさまざまな強豪を打ち倒してきたものの、オリンピックや世界大会のような舞台でトップに立った経験はない。バックボーンの実績にのみ焦点を絞れば、イブラヒムが群を抜いていると見ることもできる。
「たしかに彼が金メダリストであることを自分に問いただしたりしましたけど、あくまで彼のことは尊敬していますが、それをうらやましいという気はないです」

 嫉妬心はないと、秋山は強調する。実績には捉われない。だが、人間として純粋に能力が高い超一流のアスリートに挑む。そんな思いから、秋山はイブラヒムとの一戦を「金メダルへの挑戦」と位置づけた。

 そのために、秋山は今年に入ってから新たな環境に身を置いた。昨年末に患った腰のヘルニアが完治すると、すぐにボクシング界の名伯楽・山田武士トレーナーのもとを訪れたのである。
「以前から面識はあったのですが、今年に入ってから山田さんに教わるようになりました。自分では、どれだけ成長したのか分からないですね。それは、試合になれば分かると思います」

 山田トレーナーは世界戦にも挑戦したボクサー福島学をはじめ、総合格闘家の門馬秀貴や川尻達也、K-1に上がったこともある野地竜太らに打撃のテクニックを叩き込んでいる。総合格闘技に適したパンチの指導には定評があり、秋山もその点を強化するために師事したのだろう。山田トレーナーは、秋山について次のように語る。

「彼の右ストレートは、普通のボクサーより真っ直ぐに打てていますね。あれは、天性のものがありますよ。イブラヒム選手は大きいので野地選手と一緒にスパーをやっているのですが、危険な位置には立たないようになっています。右ストレート、もしくは左フックを引っかけて倒したいですね」

 世界一になったイブラヒムのレスリングと身体能力に、ワールドクラスの柔道とボクシングで挑む。これが、今回の秋山陣営の作戦のようだ。

 会見に続けて行なわれた公開練習では、秋山は山田トレーナーの言葉を証明するような、シャープな打撃を披露した。鋭い踏み込みからのワンツー、相手の前進に合わせた死角からの左フック、相手のタックルをかわしてからのヒザ蹴り、打ち合いから流れるように上になってから見舞うパウンド。ミットを持つ山田トレーナーの多様な動きに合わせて、秋山は次々と力強い打撃を繰り出す。すでに柔道とボクシングの融合は、かなりのレベルにまで達しているようだ。

「前田日明さんをはじめ、みなさんに期待していただけるのはありがたいこと。その期待に添えるよう、自分の色を出したいと思います」

 秋山の色とは、持論としている“自由”な形、スタイルだろう。あらゆる攻撃が許される総合格闘技は、そんな彼の気風に合っていると言っていい。3月15日に柔道とボクシングという自分の色を出し切った時、彼は柔道時代に果たせなかった五輪越えを達成する。■


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秋山成勲:プロフィール


公開練習で、力強いパウンドを見せた秋山。打倒イブラヒムの突破口となるか!?

今回の試合は、年内の開催が予定されている85kg級トーナメントへ向けた一戦でもある。だが秋山は「先は考えていない」と、今回に集中するという


山田トレーナーは「あの真っ直ぐのストレートは、天性のものがある」と、秋山のパンチを絶賛した

強力な援軍を得て、秋山はイブラヒム狩りを目指す!


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