2月28日、K-1オフィシャルジム/『Sammy Presents HERO'S 2006』(3月15日、日本武道館)宮田和幸、公開練習

 3・15HERO'Sのイヴァン・メンジヴァー戦に向けた公開練習で、宮田和幸が動くたびに報道陣から驚きの声が上がった。腕ひしぎ十字固めやアームロックといった基礎的な技を出したかと思えば、豪快なスープレックスやビクトル投げからのヒザ十字固め、グラウンドコブラといったトリッキーな攻撃も披露する。シドニー五輪でレスリング日本代表になった宮田だが、もはやバックボーンに頼りきってはいない。今や彼は、総合格闘家として目覚しい進歩を遂げていた。

「今年は、勝つことが最低条件。そして、持っているものを全部出す。これまでは、出し切れないで試合が終わってしまうことがあった。ただ負けた試合ですけど、昨年9月の須藤元気さんとの試合は持っているものを出せました。1Rに寝技を出していたんですけど、それでも気負いすぎて途中からスタミナが切れてしまいました」

 これまでの課題について、宮田はそのように語った。もともと彼は、潜在能力がずば抜けていると関係者から高い評価を集めていた。だが、それが試合で出し切れない。そんな日々が続いた結果、宮田は海外武者修行という道を選んだ。
 まず昨年10月にヒース・ヒーリングが練習に励むアメリカの「コンバット・クラブ」の門を叩き、2週間ほど柔術の特訓に明け暮れた。さらに今年に入ると、1月中旬から10日間にわたってタイのイングラムジムでムエタイの技術習得に励んだ。アメリカで寝技、タイで打撃を学び、宮田は総合格闘家としてあらゆる状況に対応できるようなスタイルを模索したのである。
 その成果は、絶大だった。宮田の練習パートナー、和術慧舟會RJW代表の矢野倍達は語る。

「アメリカ合宿から帰ってきた時点から、別人のようになっていましたね。普段のスパーリングでは、ほぼ100%関節を取られてしまいますよ。とくに、足関節がうまいですね。打撃を完璧にマスターしたら、70kg級で最強になると思いますよ。山本“KID”徳郁選手にも勝てます。今年は、彼が大ブレイクするんじゃないですかね」
 矢野の大絶賛が、少しもオーバーに聞こえない。この日の練習だけで、宮田は報道陣の目を釘付けにした。しかも、彼はタイで学んだ打撃を一切、披露していない。そして、なおも“宮田スペシャル”という秘密兵器も用意しているという。

「飛びつき系の技なんですけど、自分に合っているかなと思って練習でやってみたんです。そうしたら、かなり決まるんですよね。(佐藤)ルミナさんが以前、飛びつき腕十字で6秒で勝ったみたいですけど、僕も秒殺を狙いたいですね。メンジヴァー選手はアグレッシブで何でもできるタイプなので、僕も全部の技で対抗します。彼のレスリング? それは話にならない。僕とは差がありますから。警戒するのは、打撃くらいですよ」

 今の宮田には、メンジヴァーに圧勝しているイメージしか感じさせない。3月15日は、そのイメージを現実のものとするはずだ。そしてこの試合をキッカケに、彼は06年のHEROへと上りつめることだろう。『刃牙(バキ)』を目指している彼は、マジで『リアル刃牙』になるかもしれない。■


>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

>>『Sammy Presents HERO'S 2006』チケット購入はこちら

宮田和幸:プロフィール


「左フックは、当たれば倒れる」と、宮田は打撃にも自信をのぞかせる。昨年9月に須藤に敗れた宮田とは、別人と考えておいた方がいい

「レスリングにこだわらなくても闘える」と、宮田。ここ数ヵ月で、彼は総合格闘家として急速にレベルアップしている


宮田はスパーリングで、プロレス技のグラウンドコブラまで披露した。「レスリングはここからフォールに繋げるんですけど、総合で極まれば100%タップしますよ」(宮田)

宮田は3分4Rのスパーリングで、わずか15秒しかインターバルを置いていなかった。矢野によると「普段は5分10R、インターバル15秒とかでスパーリングをやっています」といった練習を積んでいるという。宮田のスタミナに、不安要素はなさそうだ


Copyright (C) 2006 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2006 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。