3月6日、K-1オフィシャルジム/『Sammy Presents HERO'S 2006』(3月15日、日本武道館)宇野薫、公開練習

「目標は、ベルトに向けて。それだけです」
 3・15『HERO'S』から始まる06年のテーマを、公開練習に臨んだ宇野薫は“ベルト奪取”と言い切った。宇野は謙虚な態度を貫いて挑戦者としてさまざまなリングに上がり、世界中の強豪をなぎ倒してきた“総合格闘技界のパイオニア”。そんな彼が、ここまでベルトに拘る理由を次のように語った。
「ベルトというのは、強さの象徴。僕は、強くなることにこだわっていますから。どこのリングであっても、ベルトがあれば挑戦したいです」

 現在、『HERO'S』のミドル級王座は05年のトーナメントを制した山本“KID”徳郁の手にある。そして宇野は、昨年の『HERO'S』でそのKIDを相手に大接戦を演じてみせた。9月の『HERO'S』で行なわれたトーナメント準決勝、宇野はKIDに的確なローキックを何発も叩き込んだ。だが、2RにKIDの右アッパーでまぶたをカットされてTKO負け。彼にとって予想外の結末だった。
「王者の山本君に最初にチャレンジするのは、宇野君が面白いと個人的に思っています」
 この一戦を見た前田日明『HERO'S』スーパーバイザーは、宇野の健闘を称え、そう評価した。だが、宇野の胸中は無念の思いで溢れ返っていたことだろう。そして、その悔しさが彼の背中を押した。

「昨年は(ヨアキム・)ハンセンに残り数秒で逆転負けしたり、KID戦がカットで終わったりしてしまった。その悔しさを持って、練習に取り組むようになりました。ハンセン戦の後に首をケガしたんですけど、もう大丈夫。しっかりとケアするようになりました。僕が23歳の頃、船木(誠勝)さんに“25歳を過ぎたら、体を磨いていかないといけない”と言われたんですよ。当時は何を言っているんだろうと思ったんですけど、先輩のアドバイスの意味が今になって分かりましたね」

 KID戦以降、宇野はこれまで以上に集中して練習に取り組むようになったという。その集中力の矛先は、06年のベルト奪還に向けられた。すなわち3・15『HERO'S』は、王道への第一歩となる。じつに半年振りの実戦だ。だが彼は、ブランクを気にすることもなく自ら強豪を名指しした。『ZST』やUFCで圧倒的な強さを博した、強豪リッチ・クレメンテとの対戦を志願したのである。
「強い選手ですよね。8連勝ぐらいしているし、最近の総合のスタイルができる相手だと思って指名しました。彼はディフェンスが固いので、それをどう崩すかが課題ですね。前田さんに言っていただいているように、次にKID選手と闘えるようになるため、内容も問われる一戦だと思います。面白い試合、そのためにどこまで自分を出せるかが試されるところですね」

 ベルトを手にするためには、クレメンテから快勝を飾らなければならない。宇野は、王者になる“資格”を得るために自ら高いハードルを設定したのである。この日、宇野は3分2Rで行なわれたスパーリングで、めまぐるしい寝技の攻防を休むことなく披露してみせた。この回転体のような動きは、打倒クレメンテの鍵となるに違いない。
 3月1日の公開練習で“シンデレラボーイ”所英男がKID戦を直訴するなど、タイトル争奪戦は早くも白熱している。そんななかにおいての宇野のアピールは、成功すれば確実に高い評価に繋がるはず。開拓者から、王へ。宇野の革命は、3月15日から始まる。■


>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

>>『Sammy Presents HERO'S 2006』チケット購入はこちら

宇野薫:プロフィール

試合前のビッグマウスを嫌う宇野だが、ベルトについては少しも躊躇せずに思いの丈を打ち明けていた

「UFCへのアピール? そういうことも考えてはいます。UFCにも、もう一度あがりたいですね」と、宇野。開拓者精神を失ったわけではないが、現在は『HERO'S』のベルト一本に照準を絞り込むつもりのようだ


自らが信条としているように、宇野は3分2Rの寝技スパーで、流れるような攻防を見せた。バックを取られた状態から脱出する“宇野逃げ”や、スピニングチョークまで、技のバリエーションは多岐に渡っている

リング外ではセレクトショップを経営するなど、多彩な面があるのも宇野の魅力の一つ。この日は自らが制作に携わったトランクスに、同じくトロピカルな柄のタオルを意識的に合わせたという


Copyright (C) 2006 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2006 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。