3月12日、帝国ホテル/『Sammy Presents HERO'S 2006』(3月15日、日本武道館)緊急記者会見

 急きょ行なわれた3・15『HERO'S』の記者会見は、まず谷川プロデューサーの状況説明から始まった。
 
「3月8日の深夜、秋山成勲選手と対戦予定だったカラム・イブラヒム選手のエージェントから連絡があり、彼がエジプトで練習をしている最中に拳を負傷したという話を聞きました。我々としては何とか出場をと交渉したのですが、秋山選手やファンのみなさんには申し訳ないですがカード変更をすることになりました。その後、イブラヒム選手の代わりとなる選手を探していたなかで、ほぼ即答で試合を受けてくれた人がいます。プロレスラーとしても活躍している、石澤常光選手です」

 名前が読み上げられると、自らのもう一つの顔であるケンドー・カシンのマスクをかぶった石澤が登場。先に登壇していた秋山の前に立ち、手を差し出す。両者は固い握手を交わしたが、秋山は戸惑いの表情を隠せないでいた。

「今まで何度も記者会見に出席しましたけど、マスクを着けた人が来たのは初めて。表情が読み取れないですね」と秋山。

 そんな秋山のことを気にするでもなく、石澤は意味不明の発言を連発。記者会見場を、さらに自分色に染め上げていった。秋山は、時間が経つごとにさらに不可思議な気持ちに陥っていったのではないだろうか。

 マスクで表情を隠し、「総合格闘技の練習をしているかどうかは、想像にお任せします」と豪語する。人を食ったような態度を見せた石澤だが、その決意は本物だ。秋山戦のオファーを即決した理由について、彼は次のように語っている。

「プロレス界でなかなか試合が組まれないような状況で、『HERO'S』からいい評価をいただいた。今回の一番のモチベーションは、試合ができること。準備がどうとか、そんなことを考える暇はない。目の前にチャンスがあったら、掴まなきゃ」

 石澤がカシンの名でプロレスのリングに上がったのは、昨年10月のドイツ遠征が最後になる。じつに5ヵ月もリングから離れていた彼にとって、今回のオファーは何よりも気持ちを駆り立てられるものだったようだ。しかも、谷川プロデューサーがこんな証言を残している。

「本人はああ言っていましたが、じつはロスでかなり厳しい練習を積んでいたようです。体も絞れていますし、だからこそ私としても石澤選手にオファーを出したのです」

 もともと、石澤の潜在能力の高さは折り紙つき。プロレス界に入る前はレスリングに打ち込んでおり、全日本選手権で優勝を果たしたこともある。プロ転向後も総合格闘技ルールで“ケンカ屋”ハイアン・グレイシーに勝利するなど、実績に関しても申し分ない。総合格闘技ルールの試合は01年12月の子安慎悟戦(時間切れドロー)以来となるが、試合に飢えている彼の存在は、秋山にとってイブラヒム以上に厄介な存在と言えるだろう。大会当日は、アテネ五輪のレスリング金メダリストをも上回る危険な男が、秋山と刺激的な闘いを繰り広げるに違いない。

 また、宮田和幸と対戦予定だったアイヴァン・メンジバーが、足首靭帯損傷により今大会を欠場することもあわせて谷川プロデューサーから発表された。そして宮田の相手として白羽の矢が立ったのが、リトアニアのエリカス・ペトライティス。エリカスと言えば、2・18『ZST.9』で所英男を破ったことが記憶に新しい。今後、『HERO'S』の70kg級戦線を大きく揺るがしかねない存在だ。逆に宮田にとっては、“等身大のHERO”と呼ばれる男を打ち倒したエリカスに勝てば、大きな評価に繋がる。こちらも、結果的に変更前よりも魅力的なカードとなった。

 秋山VS石澤、宮田VSエリカスという2カードを加え、魅力たっぷりの全10試合が並んだ3・15『HERO'S』。極上の緊張感が味わえるのは、もうすぐだ!■


>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

秋山成勲:プロフィール

石澤常光:プロフィール

イブラヒムの欠場で、結果的にさらなる緊張感のあふれる一戦が組まれた。大会当日は、何が起きるか分からない!

不可思議な発言に終始していた石澤だが、その実力は関係者の多くが認めるところ。谷川プロデューサーも「85kg級をさらに盛り上げてほしい」と、エールを送っていた

対戦相手がイブラヒムから変更になったことについて、秋山は「気負いはない」とコメント。しかし、石澤の不審な動きには心を惑わされたようだ


Copyright (C) 2006 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2006 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。