「僕は、同じ格闘技としてつねに柔道を意識していましたね。レスリングも昔からお家芸と言われて活躍はしていましたけど、それ以上に本家本元である日本柔道はすごいものですし。ある意味、うらやましいというか、多少のコンプレックスのようなものもありました。オリンピックなどでは柔道の方が、レスリングより絶対に国民の注目が集まっていましたから」

 普段は冷静沈着な永田克彦が、珍しく語気を強めていた。5・3『HERO'S』で実現した秋山成勲との一戦には、8月からスタート予定のライトヘビー級トーナメント(仮称)の前哨戦、そしてレスリングと柔道のエキスパートによる異種格闘対決というテーマがある。ところが当の永田は、この試合に周囲の想像以上の思いを巡らせていたようだ。

彼は、次のように続ける。
「もちろん、シドニー五輪で銀メダルを取った当時でも、そのような思いはありました。レスリングと柔道のどちらが強いのか。そういう見方をされるであろうという気持ちも、この一戦が決まった時から持っていました。僕はレスリングという世界最古の格闘技の伝統と歴史にかけて、絶対に負けたくないですね」

 この闘いは、単なる異種格闘戦ではない。レスリングと柔道のどちらが上なのかを決めかねない大一番なのだと、永田は豪語する。もはや、これは異種格闘の最強決定戦と言っても過言ではない。

 もちろん永田は、秋山を一人の柔道家といった目だけで見ているわけではない。秋山自身に対しても、高い評価を付けている。
「秋山選手は、すごい体をしていますよね。身長も体重も向こうが上だし、単純な力比べでは厳しいことになりそうですね。それに、打撃で勝負しているところもすごいと思います。打撃を磨くことによって、柔道のいいところをさらに活かしていますね」

 永田は、秋山との闘いではかなりの苦戦を強いられると見ているようだ。しかし、彼はその直後に“でも”という言葉を付け加えた。
「でも、レスラーは倒れない。レスリングも柔道も、倒すか倒されるかの競技ですからね。そういうものでも絶対に負けたくないし、一歩も退くことなく前へ出たいです」

 テイクダウンさえ許さない。そのために、永田は柔道衣対策も練るという。秋山は3月の『HERO'S』で、石澤常光に対して道衣の袖を使って頚動脈を圧迫する袖車絞めを披露したばかり。相手の特徴を完璧に把握することで、永田はレスラーとしての完全勝利を目指しているのだろう。

 昨年末の『Dynamite!!』でプロの世界に足を踏み入れた永田が、5ヵ月ぶりにリングに帰ってくる。あのレミギウス・モリカビュチスを相手にレスリングの強さを見せ付けたように、5月3日もレスラー魂を爆発させるはずだ!■

>>『Sammy Presents HERO’S 2006 ミドル級世界最強王者決定トーナメント06 開幕戦』実施概要

>>永田克彦:プロフィール

「レスリングの方が上だと証明する」と、永田は打倒・秋山と同時に柔道越えを果たそうとしている
「警察学校時代に、授業で柔道の練習をした経験はあります」という永田。この経験が、秋山を攻略するキッカケになるかもしれない

「石澤(常光)さんとは、親交がありますからね。負けられません」と、永田は3月の『HERO’S』で秋山に敗れた盟友のリベンジを誓った


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