4月18日、東京・帝国ホテル/『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級世界最強王者決定トーナメント06 開幕戦』対戦カード発表記者会見

 すでに山本“KID”徳郁VS宮田和幸、秋山成勲VS永田克彦という超ビッグカードが実現している5・3『HERO'S』だが、この日の会見で新たに4つの好カードが追加発表された。いずれも、大会コンセプトでもあるミドル級世界最強王者決定トーナメントの一回戦となっている。

 まず“シンデレラボーイ”所英男が、“インドの狂蛇”ブラックマンバを迎え撃つことが決まった。ブラックマンバは昨年10月のK-1 MAXでHAYATOと拳を交えているが、もともとは総合格闘家として実績を残している選手。今回は本職の総合ルールへの挑戦ということで、彼の本領が発揮されるのは確実と言っていい。
「不気味ですね」
 そう所が警戒を寄せるように、世界最強の毒蛇の名を冠する男は、トーナメントの台風の目となりそうだ。

 続けて発表されたカードでも、強豪外国人の名が挙がった。2月のMAX日本予選で大東旭に勝利した上山龍紀の相手に、日本人キラーのギルバート・メレンデズが選ばれたのである。修斗を主戦場とするメレンデズは、これまで3人の日本人ファイターと対戦して負けなし。しかも高谷裕之、植松直哉、佐藤ルミナと、下してきた顔ぶれは国内のトップクラスばかり。ところが上山は不安を見せる様子もなく、自信たっぷりに次のように意気込みを語る。
「でも、この試合はチャンスだと思っています。自分の試合ができれば、必ず勝てると信じていますから」
 マイペースを貫く上山は、開幕戦よりはるか先を見据えているのだろう。狙うはベルトだけ。そんな思いを抱く上山とメレンデズによる一戦は、壮絶な試合内容となりそうだ。

 また国内屈指の寝技師である門馬秀貴の相手は、名門アメリカントップチーム所属のブラジル人ファイター、J.Z.カルバンに決定。ほとんどのデータが分厚いベールに覆われた選手だが、関係者のなかには「彼こそが、外国人選手のなかで一番強い」と豪語する人間もいるほど。だが門馬も、他の選手同様に固く勝利を誓ってみせた。
「自分は下になるケースがよくありますけど、そこで思う存分殴ってくれて構いません。その代わり、三角絞めで倍返しにしますから」
 殴るか、極めるか。そんな互いの意地がぶつかり合うような、劇的な展開が繰り広げられるかもしれない。

 さらに、“ペケーニョ”こと修斗世界ライト級王者アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラの実弟であるレオナルド・フランカ・ノゲイラと、パンクラスで実績を挙げているアイヴァン・メンジバーによる一戦も発表された。『HERO'S』では珍しい外国人対決だが、兄のリベンジを狙うノゲイラと、関係者の評価も高いメンジバーによる激突だけに、興奮必至の試合展開が期待できそうだ。

 このほか、宇野薫と曙もそれぞれ試合を行なう。参戦予定だったペケーニョがベルトの防衛戦のため、またビトー・シャオリン・ヒベイロが負傷により参戦見送りとなったが、そんなニュースを軽く吹き飛ばすような面々の出場となった。

 その豪華な顔ぶれのなかでも、報道陣の興味がとくに集中したのが所と前田日明『HERO'S』スーパーバイザーだった。ことのキッカケは、所の意味深な発言にある。
「今は前田さんと一緒に練習をしていて、変わり始めています」
どうやら所は、前田スーパーバイザーから毎日のように特訓を受けているというのだ。これについて、前田スーパーバイザーは次のように補足した。
「今年に入ってから、本格的に所君に教えています。彼が毎日のように僕の自宅に来て、リビングで技を教えたり、家の前の小さな公園でサーキットトレーニングをやらせたりしています。彼に合わせたメニューを組んで、技を7種類ほど教えた。そのうち、2つはマスターしていますね。栄養面に気をつけた鍋も出しているんですよ。体重も69kgくらいに増えてきて、パワーもついてきました」

 肉体面・精神面の両方において、所は着実に変貌を遂げているという。とくに前田スーパーバイザー直伝の“七色の秘策”は、所にとっての大きな武器と言っていい。グラウンドで下になった状態、ハーフガードの状態、ガードポジションの状態など、あらゆる場面に適した技を伝授しているということで、寝技が得意な所の大きな手助けとなりそうだ。

 所VSブラックマンバ、上山VSメレンデズ、門馬VSカルバン、ノゲイラVSメンジバーと一回戦のカードが決まり、トーナメントの全貌が徐々に明らかになった。ここにシード枠のKIDや須藤元気、宮田、宇野、高谷らが絡んでくるのは必至。英雄の座を懸けた過酷なサバイバルレースは、5月3日に幕を開ける。■

▼選手のコメント

所英男
「K-1でも打撃が通用するほど凄いところを見ました。実は総合の選手ということで、不気味ですね。総合であの打撃は、ずば抜けていると思います。それに寝技もできるだろうと思っています。でも勝ちたいという気持ちに関しては、誰にも負けません。今は前田さんと一緒に練習をしていて、変わり始めているところです。以前はスパーリングをやって極めきれなかったような場面でも極められたり、押しきれないような場面で押しきれるようになりました。極めが強くなりましたね。試してみたい技もあります。前田さんとのスパーリングですか? やってみたいとは思いますけどね(笑)。教わった7種類の技は、完成していない残りの5つに関してはできる時とできない時があります。でも、だいぶよくなってきました」

上山龍紀
「強い相手ですけど、ルミナ選手や高谷選手に勝っているということで、チャンスだと思っています。自分の試合ができれば、必ず勝てると信じています。体重は、問題ありません。昔はもっと重かったですけど、ここ数年は適正体重になっています。今の体格で同じ体重の人と総合の試合をやるのは初めてなので、楽しみですね。気持ちでは、誰にも負けません。あとは、スタミナですね。5分2Rは短いと思うので、はじめから思いっきり行けそうです」

門馬秀貴
「相手との勝負でもありますけど、お客さんとの勝負でもあります。持てる力の全てを出して、勝ちます。相手のことは、顔も動きも全く分かりません。4月10日の記者会見から9kg落として、74kgにまで絞りました。あとは体調面だけに気をつければ、減量も平気だと思います。自分は下になるケースがよくありますけど、そこで思う存分殴ってくれて構いません。その代わり、三角絞めで倍返しにする。そう、相手に伝えたいですね」

>>『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級世界最強王者決定トーナメント06 開幕戦』実施概要&対戦カード

前田スーパーバイザーとの練習を経て、所は「極めが強くなった」と成長を実感しているようだ
所に熱血指導を行なっている前田スーパーバイザーは「まるで丹下段平だね(笑)」と、自らを劇画『あしたのジョー』の登場人物に喩えた
前田スーパーバイザーの発言を受け、所も「あしたのジョーになります」と、コメント。師弟で難敵ブラックマンバを打ち砕けるか!?
所、上山、門馬には、かつて前田スーパーバイザーが手がけた格闘技ネットワーク『RINGS』で試合を行なったという共通点がある。才能あふれる若者たちの成長した姿に、前田スーパーバイザーも感無量の様子だった

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