「前回の試合(池田祥規戦)は、初めてのメインイベント、そしてZSTで負けたあとでしたので、崖っぷちに立っている感じでした」
 まず所英男は、前回の『HERO'S』の試合をそう振り返った。わずか49秒、三角絞めで極真空手の池田を秒殺。ZSTでエリカス・ペトライディスに負けた直後だっただけに、快勝で復活をはたすことに成功した。
 だが、本人は冒頭で語ったようにまったく余裕がなかったという。

「ホッとしたというのが正直な感想で、うまく狙っていたことができたと思います。でも、いつもいい試合を心がけていて、しかも『HERO'S』という大きな舞台ですから、勝っただけではダメな部分もある。もう少し、打ち合うべきだったかなという感じもしています」

 所の理想は、お互いの持ち味が発揮されて、しかも自分がKOか一本で勝つ試合。それが難しいのは分かっているようだが、プロとして観客を楽しませることを常に意識しているという。池田の持つ極真の技を食らってみて、その上で勝つのがメインイベンターの役割だったと彼は思っているのだろう。しかし、最初に池田の下段蹴りをもらった瞬間、所は身の危険を感じたようだ。

「さすがは極真の蹴りだと思いましたね。あのままもらっていたら、僕は倒されていたことでしょう。池田選手があまりにも強かったので、いきなり寝技へ持っていきました」
 勝負師としての本能が、所を動かした。結果だけでは分からない恐怖を所は感じていたのだった。

 そして5・3『HERO'S』で所は、さらに不気味な相手と闘うこととなる。“インドの狂蛇”と呼ばれるブラックマンバだ。ミドル級最強王者決定トーナメントの開幕戦となるこの試合は、所が有利と見られている。だが本人は、やんわりと否定した。
「たしかに名前がマンバですから、プロレスラーみたいですよね。サーベルまで持ってリングへ上がるし。でもHAYATO戦を見た限り、しっかりとした実力を持っている。あのインドのタイガージェットシンだって、キャラクターが先行していましたけど、きっちりとプロレスをしていたじゃないですか。それに騙されないようにしないと。パンチが強そうなので、とりあえず寝技で勝負します。サーベル? 寝技になったら、一回だけ使ってもいいですよ(笑)」

 ジョークを交えながらも、所はまったく油断していないことを明かした。それもそのはず、もともとブラックマンバは総合格闘家。にもかかわらず、初めてのK-1MAXルールでHAYATOを苦しめたのだから、『HERO'S』では、さらに鋭い牙が向けられることだろう。池田に勝ったとはいえ、所は追う立場から追われる立場にもなっている。ブラックマンバにしてみれば、恰好の獲物となるわけだ。

「昨年の自分は運も味方してくれた。今年は実力勝負。落ちることも覚悟しながら、頑張っていかないと。トーナメントなので、負けたら終わり。最後まで生き残りたいですね」
 今年が勝負の年と自覚している所は、少しも浮かれていない。その証拠に所は、前田日明スーパーバイザーの元で、猛特訓中。肉体改造に始まり、細かいテクニックまで、すべてマンツーマンで指導をしてもらっているという。

「肉体が変わってきたこともありますけど、大きいのは寝技での粘りですね。極めが強くなったのと、一つの技が外されても、次の技へ移行する執念が出てきました。僕が理想とするヴォルク・ハンのように、華麗に技をつなげて、スパッと勝ちたいですね。試合でそれができたら100点。できなかったら、ゼロです」

 所の頭に描かれている青写真は、ミドル級世界王者の山本“KID”徳郁と決勝で闘い、チャンピオンベルトを手にすること。最高の試合、内容になって頂点に立つ。それが師である前田スーパーバイザーへの恩返し。それにはブラックマンバを倒して、決勝トーナメントへ進まなければならない。「サーベルを使うのは一回だけ」と大胆な発言をする所は、5・3HERO'Sで、さらなる飛躍を目指す!!■

>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

>>所英男:プロフィール

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ブラックマンバと闘う所。今度は、どんなマジックを見せてくれるのだろうか


「ZSTの強さは、一本かKOじゃないと勝てないところ。打撃か寝技、このどちらかが抜きん出ていないと勝てない。ここでの経験は大きいですね」と所

盟友のレミギウスが4・5MAXで魔裟斗に善戦したこともあり、「すごく刺激を受けました」とモチベーションが上がっている所(手に持っているのは最近ゲットした自慢のお財布)


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