4月29日、新高輪プリンスホテル/『Sammy Presents HERO'S 2006』追加対戦カード発表会見

 開催が直前に迫った5・3『HERO'S』だが、ここにきて超ド級のカードが追加された。なんと大相撲第64代横綱・曙の対戦相手に、つねに真っ向勝負を挑むファイトスタイルから“男塾塾長”と呼ばれるドン・フライが選ばれたのである。

 カード発表会見には、曙とフライが揃って登壇。互いに目を合わせ、笑みを浮かべながら固い握手を交わす。続けて、曙がフライ戦に向けた意気込みを語った。
「谷川プロデューサーから相手がフライさんだと聞いたときは、緊張しました。でも、前からトップファイターと闘い続けたいと思っていたので、試合を受けました。僕が大相撲の現役だったころから、フライさんがUFCで活躍している姿を見ていました。だから、今度の試合は楽しみですね」

 曙の紳士的なコメントに、思わずフライも笑顔に。和やかなムードが漂っているように見えたが、それは直後に放たれたフライの発言によって一瞬で凍りついた。
「アケボノのような素晴らしいアスリートと闘えることは光栄だし、大きなチャンスだと思っている。『HERO'S』の当日は、その日のベストバウトをしたい。ただし俺は男塾の人間として、男としてどう闘うべきかをアケボノに教えるつもりだ。そして、素晴らしい男たちが闘ったという結果を見せたい。まあ、試合はアケボノがKOされて終わるだろう。倒れた彼をリングから下ろすために、たくさんのスタッフが必要になるだろうな」

 これには、さすがの曙も憮然とした表情を見せる。だが、これでフライの“口撃”は終わらない。曙との体格差について質問が飛ぶと、彼は次のような答えを返した。
「まずビールを飲んで、それから寝ている牛をひっくり返す練習をしてきた。また、俺は2頭の馬を飼っているのだが、それも同じようにひっくり返した。どっちも、アケボノと同じくらいの体格だからな」

 ここまでの挑発をされながら、曙は怒りを押し殺していた。この屈辱は、リング上で晴らす。そんな思いがあるのだろう。鋭い目つきを見せながらも、曙は穏やかな口調で試合の抱負を述べた。
「男らしさは、もちろんリングの上で見せます。今ここで何かを言ったところで結果は一緒。リングの上が全てです。担架にも乗らないよう、一生懸命に練習してきました」

 曙は大晦日以来となる総合ルールの試合に向けて、プロレスの巡業が終わってからは1日5時間のハードトレーニングをこなしてきたという。とくに打撃を重点的に強化し、ジャブやガードなどの基礎から徹底的に矯正したと語る。その成果は、大きな自信へと繋がっているようだ。フライ戦の作戦を訊かれた曙は、大胆な予告をしてみせた。
「フライさんの試合で最も印象深いのは高山(善廣)さんとの一戦。あの試合みたいにお客さんを喜ばせたい。殴り合いたい。どっちかが倒れるという試合をしたいですね。フライさんは、今までに闘ったどのタイプの選手よりも、堂々と正面から来る選手ですから」

 なんと曙は、ガードを無視したような真っ向勝負のド突き合いをフライと行ないたいという。フライの言動で、ハワイの悪童として知られていた少年時代の記憶が呼び起こされたのだろうか。今回の曙は横綱としてではなく、ケンカ屋のチャド・ジョージ・ハヘオ・ローウェンとして闘うつもりなのかもしれない。
 このほか、会見の席で山本宜久とWAKASHOYOによるオープニングファイトも追加発表された。序盤から怒涛の展開が続く『HERO'S』で、マジ怖い曙が見られそうだ。■

前田日明スーパーバイザーのコメント

「曙選手には、誰を当てるのか本当に迷いました。でも、あえて厳しいマッチメイクしようと思いまして、ドン・フライ選手を選んだのです。とくに『HERO'S』は、全米進出(年内の秋頃を予定)を考えています。そうなるとハワイ出身の曙選手には、アメリカで知名度がありますから、大きな期待がかかってくる。アメリカは総合格闘技が盛んですので、彼にとってもいいチャンスだと思います。フライ選手は、プロとしての誇りを持つ、素晴らしいファイター。曙選手が彼と闘えば、立ち直るいいキッカケになるのではないかと思います。横綱時代の気持ちを早く取り戻してほしいですね」

谷川貞治K-1イベントプロデューサーのコメント

「前田スーパーバイザーと相談して、曙選手の相手をフライ選手に決めました。本人は復帰戦ということもありますし、闘いやすい相手になると思っていたのではないでしょうか。1週間前、最初に本人へ伝えたときには、驚いていましたからね。でも、周りの意見を聞くと、楽な試合をしない方がいいということだったので、フライ選手に落ち着きました。厳しい相手ですが、曙選手のいい所を引っ張り出すことになるかもしれません。成長している曙選手を見せてほしいですね」

(※前田スーパーバイザーと谷川プロデューサーは、ラスベガスよりメッセージが到着)

>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

>>曙:プロフィール

>>ドン・フライ:プロフィール


ハードトレーニングの影響で、曙の体は以前より絞れたようにも見える。最高の相手に対して、最高の自分を見せられるか!?


フライが挑発すると、途端に顔が強張った曙。だが「あくまで胸を借りるつもりで、思い切って闘う」と、この日はその感情を解き放つことはなかった

じつは「アケボノは素晴らしいファイター。横綱という肩書きを、簡単にできるわけがない」と、曙に対するフライの評価は高い。この日は挑発を繰り返していたフライだが、もしかしたら曙の男気を試す狙いがあったのかもしれない
互いに真正面から相手に突っ込んでいくタイプだけに、殴り合いは必至! リングが壊れてしまいそうな、とんでもない試合展開になりそうだ


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