5・3『HERO'S』ミドル級最強決定トーナメント開幕戦に出場する門馬秀貴は、本来、秋山成勲のいる85kg級のファイターである。通常の体重が84kgくらい。つまりミドル級で闘うには、14kgもの減量をしなければならない。これについて本人は、次のように語っている。
「最初は、85kg級トーナメントの参加予定選手として選んでいただいていまして、心の準備をしていました。そうしたら急遽、70kgというお話をいただきまして、ちょっと落ちないと思っていたんです。でも自分自身のテーマは“冒険”。70kgで闘うのも、一つの冒険だなと思ったんです」

 初の『HERO'S』参戦となる門馬は現在、32歳。高校球児だった彼は、プロ野球の選手を目指していたが、日本で開催した『バーリ・トゥード・ジャパン』を見て、25歳から総合格闘技を始めた。門馬の冒険は、おそらくそこから始まったのだろう。リングス、パンクラスのリングで活躍し、プロレスにも挑戦したことがある。まさに冒険の連続といっていい。
「他の選手とは違って、僕はそれまで格闘技の経験がありませんでした。だから逆に、もっと体力が上がっていくと思っているんです。幸いにも、僕の周りには、宇野(薫)さんや秋山さんなど、身近に『HERO'S』に出ている選手がいるので、とても刺激になりますね」

 格闘技の経験がなく、始めるのが遅かった門馬だが、じつは寝業師と評判が高い。とくに得意の三角絞めは、極めたら決して離さないほど対戦相手から恐れられている。その裏には、陰の努力があった。
「僕のように経験がない選手は、組めば倒されるし、投げ飛ばされてしまう。彼らに対抗するには、寝技しかないと思ったんです。強い選手の寝技を盗みながら、覚えたことをすぐにメモに書くようにしました。そのメモをした紙は、すぐになくなってしまうんですけどね」

 そう言って笑う門馬は、“几帳面だけど、だらしがない”と自己分析する。ただ、メモをなくしても体は覚えている。そうやって彼は、寝技のスペシャリストにまで上り詰めた。
 今年の2月には、あのホドリゴ・グレイシーと闘い、ドローに持ち込んだ。たしかな技術がなければ、ホドリゴと互角に渡り合うことはできなかったことだろう。門馬の技術は、すでに世界トップレベルにあるのだ。

 今回のミドル級最強決定トーナメント開幕で門馬が闘う相手は、J.Z.カルバン。アメリカントップチームに所属するカルバンは、ジェシアス・カバウカンチの名前で修斗のリングに上がったこともある強豪だ。修斗のチャンピオンのヨアキム・ハンセンの腕を破壊し、勝ちに等しい勝負をしたこともある。
「たしかに強豪ですけど、自分のレベルアップになりますので楽しみですね。僕は寝技だけだと思われているみたいですけど、今はボクシングの練習を一日5時間、週3回はやっています。打撃でも倒せることを証明したいと思っています」と意気込む門馬。初の『HERO'S』参戦へ向けて、インパクトのある勝ち方を目指しているようだ。

「相手には、どんどん殴ってきてほしいですね。その方がお客さんは沸くでしょうし、打撃で押されたら最後は三角絞めで勝つ。形に入れば、絶対に離しませんよ」
 打撃で勝負をしつつ、打たれたら最後は伝家の宝刀“三角絞め”で仕留める。まるで、怪獣と戦うウルトラマンが、最後にスペシウム光線で退治するようなイメージなのだろう。5・3『HERO'S』で門馬は、ウルトラマンになろうとしている。■

>>『Sammy Presents HERO'S 2006』実施概要

>>門馬秀貴:プロフィール

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端正な顔立ちの門馬。『HERO'S』でも人気者になりそうだ


「不安はありますけど、それは日々の練習で一つひとつ消していっています。当日は、入場から退場まで、一つの作品として見てほしい」(門馬)

門馬にとって最大の敵は、体重。14kgもの減量は、かなりの負担になることだろう


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