5月26日、ディファ有明/ZST『GT-F2〜第2回ZSTフェザー級グラップリングトーナメント〜』
所英男にとって、出直しとなる復帰戦。前回は、HERO'Sミドル級トーナメント開幕戦で、ブラックマンバのヒザ蹴りでまさかのKO負け。王者・山本"KID"徳郁への挑戦をテーマにしていた所にとって、その衝撃は計り知れない。おそらく心配していたファンも多かったはずだ。
今回、所が出場したのは、彼のホームであるZSTの『 GT-F2〜第2回ZSTフェザー級グラップリングトーナメント〜』。これは、打撃がない組み技のみのワンデイトーナメントで、8人の選手で争われる。第1回大会は、04年3月に行われ、ここで所は元修斗王者の大石真丈らを破り、見事な優勝を飾った。そして、その後、所は一気に出世街道に乗ることに。つまり彼にとっては、原点といってもいい大事なトーナメントなのだ。
一回戦の所の相手は、全日本サンボ王者の今泉賢太郎。修斗でも活躍する今泉は、寝技のスペシャリスト。復活を狙う所には、大きな試練ともいえた。
1R、足をかけて寝技へ引き込んだのは今泉。所はすかさず足を取りに行くと、今泉はアキレス腱固めで返した。引き込む所に対して、パスガードを狙う今泉はバック宙。これは失敗するが、スピーディーな展開に会場が沸く。腕を狙う所。ラウンドの最後に所は、バックから胴絞めスリーパーを仕掛ける。今泉がアキレス腱固めを返したところでゴング。
2R、所が首投げを仕掛けると、今泉はサイドに回って倒す。所は腕十字に移行。今泉はこれをディフェンスした。スタンドで再開になると、今泉はタックルからテイクダウンを奪うことに成功。すかさずアキレス腱固めへ。これを所が外し、下からアームロックを狙う。これは今泉がディフェンスした。一進一退の攻防が続き、最後はお互いにアキレス腱固めをかけたまま、試合が終了。判定で所が勝利。準決勝へ駒を進めた。
準決勝の所の相手は、勝村周一朗。一回戦でジェイソン・ラインハートを三角絞めで下した勝村は、所とは練習をよくする仲間。お互いに手の内は知っており、細かい駆け引きの応酬になった。所は引き込むと、下から関節を取りに行く。これをかわした勝村は、飛び込んで引き込みにかかる。これをキャッチした所が、バスター(マットに叩きつける攻撃)。すると今度は、所が飛び込む。これをキャッチした勝村が、バスターで返した。サイドに回り、不から攻める所。その瞬間、勝村は三角絞めの体勢に。所は腕をロックして、肩をズラしてディフェンスする。
その姿勢のまま、時間が経過していく。クラッチを外せないと判断した所は、残り30秒のセコンドの声を聞いて「このまま絞め続けてくれれば、2Rは優位になる」と判断。一方の勝村は、「このまま絞め続けたら、2Rは足に力が入らなくなる。ここで一気に決める」とさらに足に力を込めた。すると、ラウンド終了が目前まで迫ったところで、所の力が抜けてしまう。失神だ。危険と判断したレフェリーは、試合をストップ。あとわずかで所は、天国から地獄へ落とされてしまった。
「正直、これからどうしようかという感じです。今日、いい形でまたスタートを切りたかったんですけど…。負けてスタートというのは、辛いですね」と試合後、所は肩を落とした。
次回の試合は未定だが、復活の波に乗れなかった所は、これからどうなっていくのか。8・5HERO'Sで華麗に復帰する姿は見たいのだが、はたして…。■
|