7月25日、K-1オフィシャルジム/秋山成勲、公開練習

 青い柔道衣を着た秋山成勲が、マスコミの前に現れた。
「最近は暑い日が続いているので、着ることは少なくなっていますけど、やっぱり帯を巻くと気が引き締まりますね」と額から汗を流して、秋山は厳しい表情をみせた。過去、秋山はどんなに不利と思われていても柔道衣を脱いでいない。それは、柔道家としてのプライドがあるからだ。前回の永田克彦戦の直前は、脱ぐかもしれないという情報も流されたが、結局はいつものように柔道衣を着てリングへ上がった。
「予定では、次も柔道衣を着て、リングへ上がりたいですね」とコメント。道衣への拘りは、人一倍あるのだろう。

 秋山が8・5HERO'Sのライトヘビー級トーナメント準々決勝で闘う相手は、金泰泳。金は周知のように、正道会館を代表する空手家だ。そんな金に対して、秋山はある提案をした。
「空手家に道衣を着てほしい? そうですね。着てもらったら、もちろん嬉しいですよ。空手衣と柔道衣。それが並んだだけでも面白そうじゃないですか。着てくれたら嬉しいですよね」

 要求というと大袈裟かもしれないが、秋山は「でも、こればかりは相手があってのことですからね」と、やんわりと金にジャケット着用を勧めた。だが、総合格闘技初挑戦の金が道衣を着れば、掴まれて不利になる可能性もある。こればかりは金が納得しないだろう。
「でも、どうなんですかね。空手衣は薄いので、多少は掴むことができるでしょうけど、破れてしまうかもしれません。僕が有利とも、いえないんじゃないでしょうかね」

 秋山はそう分析する。たしかに空手衣と柔道衣は、似ていて非なるもの。柔道衣のように、掴むことを前提としたものとは違うはずだ。かつて金は、動きやすいように袖の部分を大きくカットして、試合をしていた時期がある。それで闘えば、完全に不利だとは言い切れない。柔道VS空手がテーマであるならば、二人が道衣を着て闘う方が面白いのだが、金がどう考えるかだ。

 対戦相手が決まったばかりなので、金の対策はまだしていないという秋山だが、「打撃は非凡なものを持っているし、ハートも強い。今度の相手は、前の試合みたいに(永田をバックキックでKO)は倒せないでしょうね。でも、立ち技から始まりますし、ビデオで研究はしますよ」と気合いを入れている。

 3分2ラウンドの公開練習では、パートナーを一本背負いで投げて、腕十字。大外刈りからマウント、肩固め、そして足首固めなど、流れるように次々と極めていく。飛びヒザ蹴りで入って、関節や絞め技を狙うなど、多彩な動きをみせた。さすがに、優勝候補と呼ばれるだけのことはある。総合格闘家として、また一歩、完成度が高くなっていることを感じさせた。とくに秋山は、この世界へ入ってきたときの最初の先生が、金だった。言葉ではなく、体でプロの厳しさを叩き込まれたこともあり、「総合を始めて、2年。あれから、自分がどのくらい強くなったかということを、リングの上で体を通じて伝えられたらいいですね」と、かつての師へ恩返しをしたいという。

 ドラマが詰まったこの試合は、一体、どんな結末になるのだろうか。■



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青の柔道衣を着て練習を公開した秋山は、金に白の空手衣を着てほしいということなのか

「KID選手のオリンピック挑戦? 羨ましいですね。柔道もできればいいんですけど…。オリンピックを目指した一人の人間として、心身ともに充実して向かっていってほしいですね」とKIDにエールを送った


好調を思わせる動きをみせた秋山。桜庭と同様、流れるように関節を極めていった


金との試合でポイントになるのは、やっぱり秋山の寝技。グラウンドに引き込めば、やはり秋山のペースになるのか

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