――いよいよライトヘビー級トーナメントが開催されますが、どんな心境ですか。
大山 そうですね。楽しみですね。勝ってアピールしたいです。
――85kg級も、やっとベルトができました。
大山 形としても欲しいですね、ベルトは。
――ミドル級はKID選手が腰に巻きましたが、この階級では自分もという気持ちはありますか。
大山 そういった気持ちはありましたね、ずっと。ベルトは一つの集大成のようなものなので巻きたいな、と思っていますね。

――すでに10kgも減量したみたいですね。
大山 はい。今の段階(7月中旬)では、一旦リミットまで落としてまた普通に食べ始めるところですね。体重の様子を見ながら、キープしながらです。心配なんで(笑)。85kgが久しぶりなものですから。無差別で闘うことが多かったので、90kg弱に落ち着かせるのが結構大変でした。気を抜くと92、93kgまで上がってしまうので。
――85kgトーナメントの対戦カードを聞いて、強豪が揃ったな、という印象ですが、どうでしょう?
大山 すごいトーナメントですよね。桜庭さんがいるのは、大きいですよ。トーナメントの中での価値もそうですし、僕の中のモチベーションも跳ね上がりましたしね。桜庭さんに憧れてこの世界に入ったので、その人と同じトーナメントに出られるのは光栄ですし、幸せだな、と思います。

――桜庭選手のどの部分に憧れたのでしょうか。
大山 観ていて元気をもらえるし、何かしら力をもらえるんですよね、あの人の試合からは。対ホイス戦を観て、この世界で闘いたいと思ってきたので、あの時の気持ちが甦りますよね。
――そういった人と闘える機会があれば、モチベーションはすごいでしょうね。
大山 やっぱり上がりますね。本当、幸せです。

――大山選手の試合も、勇気を与えるような内容が多いですよ。とくにアーツ戦など、自分の中でもかなり手応えがあったのではないですか。
大山 嬉しいですね。そうですね。やっと形としてできたな、というのが。あの試合は大きいですね。人生を変えてくれた試合でしたね。
――K-1のトップファイターとして、長く闘っている選手ですから、打撃の怖さがあったとは思いますが。
大山 そうですね。もらったら終わりだな、という恐怖心はありましたね。あとは、かませ犬として試合を組まれたのなら、それほど悔しいものは無いんで、絶対1発食ってやろう、と思えたのが良かったですね。
――アーツ選手が総合に挑戦してきて、総合の世界でもいけそうだと判断されるような試合は嫌だ、と。
大山 それはちょっと火がつきますよね。総合でここまでやってきた当然のプライドですよね。K-1でやるなら天と地の差がありますけど、総合の世界は僕の方が長いですからね。
――作戦通りだったとは思いますけど、自分としては100点に近い出来だったのでしょうか。
大山 そうですね。僕のイメージした通りに全てが進みましたね。描いていたものが、現実にそのまま起きたので、終わったとき鳥肌が立ちましたね。足関節取ってヒール、イメージした通りだったので。
――相手の動きもそうですか。
大山 大体流れで、打撃かいくぐって寝技持ち込んで最後にヒール、とイメージ通りに出来上がりましたね。
――なぜヒールだったのですか。腕でも良かったのでは。
大山 やっぱり足のほうが反応できないのではないか、と。腕のほうが反応は早いと思うので。足は練習しないと、なかなか反応できないものですから。
――極めにくそうなイメージがあるのですが。
大山 逆に極めやすいですね。あれだけ大きな人ですと、極まれば抜けられないので。
――では、ヒールが極まった瞬間勝った、と。
大山 そこまでは思わないですけど。これを逃してはいけない、というのはありましたね。やった、というイメージも無かったですね。無心に体が動いてくれたので、終わってやっと我に返った、みたいな感じですね。

――アーツ戦の次の試合、マヌーフ戦に関して反省などありますか。
大山 ありますね。ミスを何箇所かしているんですね。寝技から立ち上がる際に、しっかりガードをしていなかったり、寝技に持ち込んだときに1回しっかり固めてから次の展開に行かずに、一発を狙いすぎてちょっと間が空いてしまったり、そういうのがいくつかありましたね。僕の中で本当に悔いが残る試合をしてしまいましたね。
――一発を狙うとは、一気に決めてしまおうと思いすぎた、と。
大山 そうですね。でも、触れ合ったときにものすごい力強さと、寝技も練習してきているんだな、と感じました。もっと打撃の選手だと思っていたんですけど、想像以上にレベルの高い選手なんだな、と感じましたね。
――K-1でも結果を残していますからね。マヌーフ選手の打撃を実際受けてみて、どうでしたか。
大山 止まらないって感じですかね。あれだけラッシュのすごい選手はなかなかいないんじゃないですかね。
――拳も大分硬いですか。
大山 硬いですね、岩みたいなのがゴンゴンゴンって当たってきて。急所には当たらなくて、外せたので良かったですけど。もう一回やって極めたいですね。すごく悔いが残る試合をしてしまったので。
――自分でイメージした通りに動ければ、内容は変わっていた、と。
大山 うーん…負けは負けで受け入れなければいけないんで、あれはあれでもう。結果として負けたので。
――再戦の可能性もありますが、その時は。
大山 そのときは、前回やれなかったことが一杯あるので、全部出せるようにします。

――マヌーフ戦だけ観たファンは、再戦しても同じ結果になるのでは、と思う方もいるかもしれませんが、そういったファンに対する説得力が欲しいですよね。
大山 じつは…、っていうのは言えないですよね。試合で証明するしかないですから。
――ファンに向けて、今度は大丈夫ですよ、という言葉が欲しい。
大山 大丈夫ですよ、とかあんまり言いたくないんですよね。勝負ですから。軽い言葉で済ませたくないっていうのはありますね。前回出せなかった力を全部マヌーフ選手にぶつけて勝ちます、というのはありえますけど、大丈夫ですとか、これができなかったから負けたんです、とかは言いたくないですね。彼(マヌーフ選手)に対して失礼ですし、結果が出たことに対しての言い訳になりますからね。ただ、あのときの僕と今の僕は違いますしね。あの試合に関しては受け入れています。受け入れないと先に進めないんで。マヌーフ選手の方が勢いもあったし、上だったということですね。

――一回戦は、ホドリゴ選手と聞いて今、どんな気持ちですか。
大山 楽しみって言うのがありますね。グレイシーとは過去2戦闘って、納得の行く試合が出来ていない。今度の対グレイシー戦では力を全部出して、いい試合をして勝ちたいな、と思っていますね。
――ホドリゴ選手に対してのイメージは。
大山 自分のリズムに持っていくのがうまい選手ですね。頭がいいので流れを、ポイントを掴むのがうまいですね。いかにそれを崩して、自分のペースに持っていくか、というせめぎ合いになると思います。
――押さえ込んでポジションキープ、膠着が多い、といったイメージがあります。大山選手からするとやりにくいと思いますが。
大山 僕も動きますよ。動き回る試合をします。
――動いたら相手の術中にハマるのでは。
大山 逆に自分のリズムに持っていけると思っているんですよね。リズムの奪い合いです。
――大山選手が動で勝負して、ホドリゴ選手が静といった感じでしょうか。
大山 実際、肌を合わせてみないとわからないですけどね、こればっかりは。

――グレイシーのイメージとして、グラウンドというのは意識にありますか。
大山 昔は幻想が大きかったじゃないですか。以前、闘ったときは、そういったイメージに縛られてしまったので。今はそういったものではなく、僕は一人の選手として見ていますね、ホドリゴ・グレイシーという一人の選手として。等身大として。
――グレイシーだからといって、特別な意識はない、と。
大山 ヘンゾ戦にしてもハイアン戦にしても、自分の格闘技人生のポイントになるときに闘えたので、今回もグレイシーとは縁があるんだな、と思っていますけどね。85kgトーナメントってデカイ時に、またグレイシーが来たわけですからね(笑)。突破しなければいけないんだなって思っていますね、いろんな意味で。過去の対戦で納得のいかない試合をしているっていうのが、僕の中でトラウマみたいなものとしてあるんですよ。そういったものを今回で全部越えたいな、と思っています。
――運命的なものがあるのかもしれませんね。
大山 そうですね。またここでグレイシーかよ、みたいな(笑)。やるっきゃないな、と。正直グレイシーと言われたときに、昔のことを思い出してしまったりして、そういう自分もいたんですけど、でもここで来たってことは絶対何か意味があるんだな、と。
――きっと運命なのでしょうね。
大山 3回もグレイシーと闘える人ってなかなかいないじゃないですか。しかも違う選手と。

――ホイスVS桜庭戦ではないですけれど、そういった因縁が出来るかもしれないですね。
大山 そうですね。そういう意味もありますよ。本当に集大成ですよね。グレイシーと桜庭選手の試合を見てこの世界に来て、またグレイシーと闘えるわけですから、楽しみです。
――勝ち進めば桜庭選手と闘う可能性も出てきますからね。桜庭選手からすると、これを乗り越えて俺のところまで来い、というのがあるかもしれません。
大山 これで闘えたら最高ですよね。
――もちろん桜庭選手も勝ち上がるのは大変ですけども。
大山 みんな必死ですからね。

――金泰泳選手の参戦に関しては驚きですか。
大山 伝説に近いような、すごい選手ですから。すごいトーナメントになったな、という印象ですね。よっぽど自信がないと出てこないでしょうからね。気をつけなければいけない選手です。
――最後に、ファンに向かって一言お願いします。
大山 最高のトーナメントに選ばれて、幸せに感じています。自分の力を全部出して勝ちます。応援してください。■



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>>大山峻護 プロフィール
三度目のグレイシーとの対戦。そして憧れの桜庭との夢の対決に向けて、大山が燃えている


メルヴィン・マヌーフに負けたものの、ここ最近の大山は好調といっていい。ダークホースが、ライトヘビー級を制するか
ホドリゴ戦で大山は、どんな試合を見せてくれるのだろうか


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