8月3日、新高輪プリンスホテル/『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝』個別インタビュー

「なぜ、私が空手衣を着なければいけないんですか? 着れば投げ飛ばされるし、ましてや相手が柔道家なんだから、私が不利に決まっている。着るわけがないでしょう!!」
 8・5HERO'Sへの緊急初参戦が決まった、現K-1世界王者のセーム・シュルトは、キム・ミンスの要求をそう言って跳ね飛ばした。この日は、主要出場選手の個別インタビューが行われ、先に登場したミンスが、『秋山成勲選手が、金泰泳選手に空手衣を着ることを希望した』と聞き、『じゃあ、自分もそれを要求したい』と投げかけたのだ。だが、道衣を着れば、掴まれることが想定される。打撃主体のファイターにとって、掴まれることはできれば避けたい。いくら空手家とはいえ、シュルトにとって不利な条件を自ら作ることはできないのだろう。

「ここまで要求しても、どうせ着ないでしょうね」とミンスが呟いていたように、やはりシュルトは過剰に嫌がった。
 金にも『空手衣を着るのか?』と質問が飛んだが、「ファンの方が望むのならば、もちろん考えますが、空手衣を着てきたら、向こうは間違いなく掴むことに意識がいく。こっちも、投げられるのは嫌ですから、掴んで対抗してしまう。そうなると、膠着するかもしれません。打ち合いを望んでいるファンにとって、つまらない試合はしたくないんです」と、真っ向から否定。空手衣と柔道衣はもちろん違うが、「いかに空手衣とはいえ、普通の服よりもいくらかは掴みやすい」とミンスは説明する。空手家のシュルトと金にとって、掴まれれば不利になるのは事実。当日になれなければ分からないが、この挑発に彼ら空手家は乗ってこないはずだ。

 だが、シュルトが空手衣着用を拒否したのは、他にも理由がある。昨年、K-1 WORLD GPの頂点に立ったシュルトは、圧倒的な強さから絶対王者と呼ばれるようになった。しかし今年に入ってからは、ピーター・アーツに判定負け。それだけではなく、チェ・ホンマンのパンチで後ろを向いてしまうという王者らしからぬ姿を見せて、敗北を喫してしまった。相手が誰であれ、どんなルールであれ、これ以上は絶対に星を落とせない立場にあるのだ。
シュルトは金と違って、総合格闘技の試合をかなり経験している。「立ち技でも寝技でも大丈夫」と本人が語っているように、総合格闘技への不安要素は少ない。しかも相手が、まだ経験の浅いキム・ミンスとなれば、なおさらシュルトが優位に立てる。空手衣を着るアドバンテージくらいあっても、その差はそんなに縮まらない。それでもシュルトが頑なに拒否したのは、ここをターニングポイントにしたいと考えているからだろう。

「総合格闘技は、もともとやっていたこと。原点に戻るつもりでやろうと思う。立ち技の実力がどれだけ成長したか見られる、いいチャンスだと思っている」とシュルト。彼の視線の先は、今年のK-1 WORLD GPにある。ここで連覇をすることが、何よりも重要なこと。そして、「GPを連覇し、もしも来年、HERO'Sヘビー級トーナメントがあれば、その頂点にも立ちたい」とあらたな野望もチラつかせる。二日後のHERO'Sは、シュルトが絶対王者の称号を再び手にすることになるかもしれない。■

 8・5『HERO'S』で行われるライトヘビー級トーナメントのルールが、1R→10分、2R→5分、延長→5分になることが決定した。
 これを聞いた桜庭は「今までそれでやってきているので、やりやすいとは思います」とコメント。秋山も「素直に受け止めて、順応できるようにしたいですね。体的には大丈夫だと思います」と語っている。
 10分間になったことでより粘り強いファイトが展開されることが予想される。選手たちのパフォーマンスに期待しよう!!■

▼各選手のコメント

>>『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝』実施概要

シュルトはHERO'S初参戦になるが、総合格闘技は何試合もこなしているため問題なし。K-1の打撃がキム・ミンスに炸裂するか!?


空手家のシュルトに対して、ミンスは空手衣着用を要求。だがシュルトは、これを突っぱねた
「総合格闘技は、1年半ぶりくらい。楽しんで闘いたい」とシュルト

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