8月6日、新高輪プリンスホテル/『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝』一夜明け会見

 昨夜の激戦を勝ち抜いた強豪たちが、ズラリと顔を揃えた。ミドル級では、大逆転勝ちを収めた宇野薫を筆頭に、高谷裕之をヒザ蹴り一発でKOしたJ.Z.カルバン、所英男を下したアイヴァン・メンジバー、安廣一哉をチョークで仕留めたハニ・ヤヒーラが並ぶ。ライトヘビー級は、メルヴィン・マヌーフがフライトの関係で欠席となったが、金泰泳を下した秋山成勲、ホドリゴを破った大山峻護が出席した。――だが、今やHERO'Sの主役といってもいい桜庭和志の姿が見えない。

 試合後も、ノーコメントで会場から病院へ直行している。何かがあったのだろうか。だが、このことについて谷川貞治FEG代表は、頭部の検査を行うため試合後は病院へ直行。CTでは異常がなく、脳が腫れることがないよう、念のため点滴を打ったと説明。会見には大事をとっての欠席となった。

「試合後も『全然、大丈夫。相手の力を引き出したでしょ』と、プロレスラーのようなことを言っていました。月曜日(8月7日)にまたMRIを撮って詳しく調べるとのことですが、話をした限りでは問題はないですね」と報告。桜庭の容態を心配しているファンも多いと思われるだけに、谷川FEG代表の発言を聞いて安堵したファンも多いはず。だが10月の決勝大会への出場に関しては、安全面の観点から慎重を期すことを明言した。

「すべては桜庭選手の様子を見てからですね。医学的なことや本人の気持ちも含め、準決勝への出場を考えていきたいと思います。とにかく安全面などに関しては、早急に対応していこうと思っています」と谷川FEG代表。

 そして、前田日明スーパーバイザーが安全面について次のようにコメントした。
「スーパーバイザーの立場で見ると運営上のミスが露呈した大会になってしまいました。安全面の管理としてはどうかなと。ただ試合に関してはレベル的にも申し分ない試合の連続で良かったかなと思っています」

 この発言は、前日の桜庭の試合に対して向けられたもの。レフェリーのストップのタイミングに対して是非を問う声があったことから、この話題への言及は当然の処置といえよう。前田スーパーバイザーに続きマイクを握った谷川貞治FEG代表も、ストップ問題についての見解を述べた。
「どこまで試合をやらせるかという部分で大いに反省しています。レフェリー一人の判断ではなく、どういうときに止めないといけないかというのを10月の決勝大会までにちゃんと整備しないといけないですね。K-1ではルールディレクター以外に審議委員長という形で角田信朗さんがいて、何か問題があったときに相撲の物言みたいな立場の人がいるんです。でもHERO'Sでは、まだその面が整備されていませんでした。人がやることなのでミスはあると思いますので、そういう時にどうするかというのを10月大会までにやっていきたいと思います。もちろんレフェリー、ジャッジ陣からも回答書をいただいて、みなさんにちゃんと公表しようと思っています。あとライトヘビー級の試合時間に関しては、以前から重量級は1R10分にしたらどうか、という声があったので今回、実験的に採用することになりました。よって、これは桜庭選手の要望を取り入れて改正したというわけではありませんので補足いたします」

 秋山VS金戦の早すぎたレフェリーストップによる誤審問題も含め、決勝大会までに組織の再編成を約束。10月の決勝大会には、これらの問題がクリアされることは間違いない。

 その決勝大会だがミドル級では、またも外国人選手の猛威が来襲。会見に出席した宇野は、強敵3人を前に次のように語った。
「ケガは目の下を5針縫った程度です。昨日は最後まで諦めないという気持ちが、ああいう結果を引き出したと思います。残った選手はみんな強いですけど、ベルトに向かって一つひとつ闘っていきたいと思います」
 昨年に勝るとも劣らないメンバーということもあり、ベルトの行方はさらに混沌とした感がある。その中で日本人として唯一残った宇野には、今大会以上の活躍が求められることとなるだろう。だがブラックマンバ戦を見ても、地力では他の選手以上のものを持っているといっても過言ではない。大本命として、宇野が本当の意味でのHEROになる日が、いよいよ近づいてきたと言ってもいいかもしれない。

 一方、ライトヘビー級はミドル級と違い、メルヴィン・マヌーフを除く3枠をすべて日本人選手が独占。階級が上がるほど日本人は不利というデータもあるが、日本人同士による決勝戦という可能性も現実味を帯びてきた。
「誰と闘いたいという気持ちはないです。まずは誰が来てもいいように練習するのが最優先なので」(秋山)
「夢がつながったというホッとした気持ちと、強豪相手でも一本取らないと、という二つの気持ちがあります。ただ今の気持ちとしては、あと二つ勝って優勝するだけですね」(大山峻護)

 話題という意味では桜庭に目が行きがちだが、準々決勝を見ても分かる通り、秋山と大山は過去最高ともいえる状態をキープしている。ここに当の桜庭が加わることで、より大きなうねりを生み出すことは間違いない。
「去年はKID選手、元気選手らの活躍でHERO'Sというものが大ブレイクしましたけど、桜庭選手が入ったことによって、また違う色を作る可能性が出てきたと思います。KID、元気両選手では出せない雰囲気が昨日は見られたので、また新しいファンを引き込むんじゃないかという期待感が生まれましたね」(谷川FEG代表)

 気になる準決勝の組み合わせに関しては、ファン、関係者などからの意見を聞いて早急に発表されるとのこと。場合によっては抽選方式を採用する可能性もあり、ファンとしては目の離せない日々が続きそうだ。レフェリング問題こそ発生したが、競技として成熟するためには、それも必要なこと。前田スーパーバイザー、谷川FEG代表の言葉を借りるまでもなく試合内容は保障付きだけに、10月9日の決勝大会では更なる好勝負が生まれることは確実だ。■



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10・9『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント決勝戦』


>>『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝』大会結果
ミドル級&ライトヘビー級最強決定トーナメントで、決勝大会への進出を決めた選手たち。メルヴィン・マヌーフはフライトの関係で欠席。桜庭和志は、検査では異常がなかったが大事をとった


右目を5針縫った宇野薫は、眼帯をしたまま出席。次の試合は、「みんな強豪で、誰と当たっても一緒ですね」とコメントした
「決勝ラウンドへ進出できて嬉しい。タカヤとは、もっと闘いたかったね」とカルバン。高谷は眼窩底を骨折し、復帰には時間がかかりそうだ
「トコロは強敵で大変でしたが、自分としては満足のいく試合ができたと思います」とメンジバー。どこまで勝ち進むのか
「今回の試合は70〜80%。次は100%の力で臨みたい」とヤヒーラは不気味に笑った
「これから一日一日を大切にして練習に励みたい」(秋山)
「夢がつながってホッとしています。もっと強い自分になって10月は最高の試合をみせます」と気合いを入れる大山


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