10月10日、新高輪プリンスホテル／『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級＆ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント決勝戦』一夜明け会見

　左の手に包帯をグルグル巻きにしたJ.Z.カルバンが、一夜明け会見に現れた。山本"KID"徳郁に続き、HERO'Sミドル級世界王者になったカルバンは、「コンニチハ」と日本語で挨拶し、前夜の激戦が嘘のように元気だ。

　ボクサーやB.J.ペンなどを育てているトレーナーのマック高野氏によると、カルバンのケガはレントゲンを撮ってみないと分からないようという。だが、あまりにもパンチが強いために、拳の甲を骨折した疑いがあるようだ。
「カルバン選手は、反応もいいし、KID選手や元気選手と絡んでくれば、ますます面白くなってきますね」と前田スーパーバイザー（SV）は、新しい王者の誕生に目を細めた。

　カルバンは、「神のご加護があって、こうして世界一になれた。昨日は人生のなかで一番、最高の日だ。ベルトを腰に巻くことが夢だったので、こんなに嬉しいことはない。でも自分だけじゃない。これも、マックさんやトレーナーたち、みんなの力、チームが一丸になれたおかげだと思う」と、奢ることなく謙虚に語る。

　優勝した直後は、仲間と一緒に過ごし、ブラジルにいる10歳年下の妹へ連絡をとって報告をしたようだ。
「オレの妹は、自分のことのように喜んでくれた。チャンピオンになれたことが誇りだと言ってくれたんだ。妹はオレにとってダイヤモンド。かけがえのない存在なんだ。そしてブラジルにいる家族は、オレにとって最も大事な存在でもある。賞金は、家族のために使い、残りはこれから強くなるための費用にするよ」とカルバンは、笑顔をみせた。家族、仲間の絆を何よりも大事にする姿勢は、あの山本"KID"徳郁と一緒。カルバンには、KIDと似たような雰囲気が漂っている。初代王者のKIDに対しては、どんな感情を持っているのだろうか。

「KIDは、とても素晴らしいファイトスタイルで個人的には大好きだ。彼の試合から学ぶことも多い。みんなはKIDとの対戦を望んでいるようだね。ただ、彼がまだチャンピオンと思っているならば、このベルトを奪いにくるがいい。KIDを誰が止めるのかではなく、オレを止めるのは誰かだからね」

　あくまでも王者として、KIDの挑戦を受けたいのだろう。会見では、大晦日に行われる『FieLDS K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』（12月31日、大阪・京セラドーム大阪）での出場が予定され、カルバンの対戦相手にKIDや魔裟斗の名前も浮上していることが明かされた。ただKIDは今、北京五輪を目指しているため、レスリングへ専念することとなっている。『Dynamite!!』への参戦は、微妙なところだ。だが、驚くことにカルバンは、別のプランを提案した。

「昨日も言ったが、K-1MAXに参戦したいと思っている。オランダでドラゴやメルヴィン・マヌーフらと打撃のトレーニングをしたこともあるしね。自信はあるよ。マサトは尊敬しているし、いい試合ができると思う」
　トレーナーのマック氏は、「カルバンは打撃だけの試合はしたことがありません。そんなに甘いものではないと思いますけど、彼の持っている高いポテンシャルならば、面白い存在になるかもしれませんよ」と期待をかけている。カルバンの打撃のトレーナーは、かつて魔裟斗とも闘ったことがある世界王者のモハメド・オワリ。最高のテクニックを学んでいるのは間違いない。

「次は、KIDかマサト？　どっちでもいいよ」とカルバン。目の前に置かれたミドル級のベルトを片手に抱えた彼は、「毎日、これを持ったまま寝るようにする。MAXのベルトが手に入ったら、大きなベッドを買わなければいけないなぁ」と白い歯をみせた。

　ケガの回復も気になるが、カルバンが『Dynamite!!』で魔裟斗と闘うことにでもなれば、2年前の魔裟斗VS KIDの再現になる可能性もある。新しいHEROの誕生で、何やら名勝負の臭いが漂ってきた。これからも、カルバンの動向から目が離せなくなりそうだ。

　なお、10・9HERO'S横浜アリーナ大会の視聴率が発表された。TBS系列で午後9時から午後10時54分まで放送され、平均視聴率は14.6％。特番が多いなか、同時間帯で2位の好数字を叩き出した。ちなみに瞬間最高視聴率は、20.6％で所英男VS金子賢の試合だった。■


>>『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級＆ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント決勝戦』試合結果

>>12・31★大阪・京セラドーム大阪
『FieLDS K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』実施概要

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