——まずは、HERO'Sミドル級トーナメント優勝おめでとうございます。
カルバン ありがとうございます。もちろん嬉しいです。こうやってインタビューを受けられることも光栄に思っています。横にベルトを置いてインタビューできることも嬉しいし、自分の赤ちゃんのようにかわいい。それくらいベルトは、大事なものです。でも、これは自分の力だけで獲得できたものではありません。たくさんの人たちがサポートしてくれたおかげです。家族、チーム、ジムのみんながサポートしてくれたからベルトを獲得できたんです。ですから、自分だけのベルトではないと、あらためて感じています。
——カルバン選手は、とても家族を大事にしているのですね。ちなみにカルバン選手にとって、家族とはどういったものなのでしょうか。
カルバン なぜ家族や友人を大事にするかというと、生きているなかで、そういった人たちとの繋がりが一番、大事だと思っているからです。彼らのサポートがあるからこそ、僕はここにいることが出来るわけですからね。ベルトを獲ったことは嬉しいですけど、これは物でしかありません。獲得までの道のり、周りの応援がなければこのベルトは飾り物であって、何の意味もないんです。
——なるほど。
カルバン このベルトが意味を成してくるのは、自分の努力だけでなく、みんなのサポートがあってこそなんです。家族や仲間が僕を信じてサポートしてくれたからこそ、期待に応えられるように僕が頑張って夢が実現したと思っています。なので、僕のファイトを通して夢は叶うものなんだよ、ということがファンや応援してくれる人たちに伝わって欲しいですね。
——たしかにそうですね。
カルバン 僕は格闘技で夢を実現しましたが、人によって夢は違います。勉強や仕事、いろいろな夢があると思いますので、僕が出来たんだからみんなも出来るよ、と恩返しではないですけど伝えたい気持ちが強いですね。

——その大切な家族・仲間に危害を加える人間がいたらどうしますか。
カルバン そんな場合は、それを防ぐにはなにが最善の方法か、まず最初に考えます。その方法が暴力でないことは確かですね。それは一番、最後です。どの方法が最善かを考えながら行動します。暴力が最後の手段なので、それを実行してしまうかも知れませんが、始めに来ることはないですね。
——案外、冷静なのですね。
カルバン 感情の赴くままに対処してしまうと、いい解決は出来ないと思います。感情をコントロールすることによって、最善の方法、対処法が見つかると考えています。僕としては暴力ではなく、平和的に解決したいと常に思っているんです。
——頭に血が上って、ケンカをしたということはないのですか。
カルバン カッとするタイプではないですね。口数も多くはないですし。問題が起きたり、歩いていて誰かがぶつかってきたときは、自分がただ退くのではなくて問題の解決に最善の努力をします。それが暴力的な解決でないことは確かです。
——失礼かもしれませんが、雰囲気が不良っぽいので、とても話し合いで解決をするタイプには見えませんでした。
カルバン もちろん怒ることもありますよ(苦笑)。でも世の中には、沸点まで一気に上がってしまう人もいるじゃないですか。でも、僕はそうじゃありません。コントロールして少しずつ怒りが上がってくるタイプです。車の運転も、一速からトップギアにはいきなり入らない。気持ちも、一速、二速と段階を踏んでコントロールすべきだと思っています。バック、後退することに関しても自分が決めたコントロールのなかでの判断ですから。一速からトップに入れたら車も壊れるように、心にとっても良くないですからね。

——そんな温厚なあなたが、格闘技を始めたのはいつからですか。
カルバン 4才の頃に柔道を始めました。結構、強くて、13才の頃には州チャンピオンになりましたね。ヨーロッパの大会にも招待されたんですが、経費を自分で捻出できなくて、参加できませんでした。僕は田舎に住んでいたので、それからも大きな大会に参加するための経費、交通費がなくて、柔道を諦めかけていたときに、ムエタイに出会ったんです。さらにルタ・リーブリ(柔術)に出会い、とても綺麗なアカデミーで学べることでのめり込んでいきました。そこで、総合格闘技のグラップリングなどを学んで、充実感を得ていました。レスリングの試合にも出てみないか、と誘われて、レスリングもとても上達しましたね。5回、ブラジル王者になりました。2002年には、レスリングのオリンピック代表合宿に呼んでもらって、金メダリストや銀メダリストと出会ったことによって、もっと頑張りたいと思うようになりましたよ。
——格闘技を始める理由は人それぞれですが、カルバン選手はどういった理由なのでしょうか。
カルバン もともと、親が柔道教室に入れさせたんです。理由としては小さい頃から、とてもいたずらっ子で、映画で観た格闘、ケンカのシーンをマネしたくて、しょうがなかったんですね(笑)。何かトラブルを起してからでは遅いということで、柔道でも習わせようかとなったようです。
——KID選手は、自らを"格闘技の神の子"と言っています。カルバン選手は、格闘技のどういう存在であると自覚していますか。
カルバン 僕は神の子ではないですよ。KID選手がそう言っていることは別にいいと思います。でも僕は心の中に神が住んでいる、と思っていますので。みんな、それぞれ自分の努力を信じる、という意味で神は心の中にいます。

——カルバン選手は自分が特別である、という意識はないのですか。
カルバン 僕は、とてもシンプルな人間です。才能を与えられた、特別な存在と感じたことはありません。僕はいつも悪いことではなくて、いいことをしたいと思っています。それが、いつか自分に還ってくると思っているからです。例えば木を植えるとします。一生懸命に育てれば、何年後かに大きくなって実を自分に授けてくれます。それと同じで、いいことをすれば自分に還ってくるものです。
——チャンピオンになったのは選ばれた人間だから、とは考えないのですか。
カルバン 選ばれてチャンピオンになったとは考えていません。朝起きて、寝るまでの間に一生懸命、練習して、自分の信じることをやっていれば、ベルトを手にすることが出来なかったとしても、チャンピオンだと誇りを持っていいと思います。

——K-1 WORLD MAXに挑戦したいと話していましたが、勝てる自信があるのでしょうか。
カルバン 試合なので勝ち負けは絶対にありますよね。かといって、いい選手、テクニックのある選手が絶対に勝つとは限りません。眼をつむって出したパンチが、うまく当たって相手が倒れる場合もありますからね。勝ち負けではなくて、K-1 MAXにチャレンジすることによって経験値が上がります。その経験値が総合でなにかプラスになると考えています。K-1 MAXの方でも試合を続けていけば、経験値が上がっていって、そっちでも大きなものを成し遂げられるかも知れませんからね。勝つと言うよりは、その経験から必ずなにかを学べる自信が強いです。
——魔裟斗選手とK-1ルールで試合をした場合、自分はどうなっていると思いますか。
カルバン 試合がどうなっているかではなくて、リングに上がって自分の力をすべて出し尽くすのが目的です。モハメド・オワリという5回、ムエタイのチャンピオンになったコーチからトレーニングを受けていますし、オランダでメルヴィン・マヌーフやドラゴとも練習を積んできました。そういった様々な経験をリングで出すことが目標になってくるので、試合がどういった展開になってどっちが勝つ、などは分かりませんね。マサトは素晴らしい選手ですし尊敬しています。ですから、試合が実現すれば僕にとっては夢が叶うような感じです。彼の試合は注目していましたので、対戦が出来ればいい経験になりますし、嬉しいことです。もちろんリングに上がるときに、負けると思って上がる選手は誰もいないですよね。勝つ気持ちでリングに上がって、勝つことが目標ですが、内容がどうなるかは分かりません。

——関係ありませんが、マイクの持ち方、帽子の被り方が気になります(笑)。
カルバン HIP HOPが好きなんです。小さい頃からの環境がそうだったので、ストリートな感覚で育ってきたんですよ。曲も好きですし、リングに上がるときの入場曲もHIP HOPです。ブラジル国歌をHIP HOPにアレンジしたものも好きですよ。でも、曲に影響されているだけではなく、そういった文化が身に染み付いているんです。
——HERO'Sのチャンピオンになりましたが、カルバン選手にとっての子供の頃のHERO、今のHEROは誰ですか。
カルバン ありきたりですけど、両親が自分にとってのHEROです。貧困層から頑張って中流階級まで生活を豊かにして、僕と妹を養ってくれましたから。両親の頑張りを小さいながらも見ていましたので、僕にとってのHEROですね。今のHEROは、みなさんそれぞれがHEROです。誰と会っても学ぶこと、教えてもらうことでプラスになります。だから、みなさん一人ひとりが僕にとってのHEROなんです。■


>>『Sammy Presents HERO'S 2006 ミドル級&ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント決勝戦』試合結果


イケイケ風のカルバンだが、考え方はしっかりしている

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魔裟斗への対戦を希望しているカルバン。実現するときは来るのか


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“家族愛”の人、カルバン。今後ますます人気が出そうだ


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家族や仲間の絆を大切にするカルバン。こうした姿勢は、KIDと合い通じるものがある



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