曙の打撃が変わった。“相撲キラー”と呼ばれているジャイアント・シルバと、『FieLDS K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』（12月31日、京セラドーム大阪）で闘うことになった曙は、掣圏真陰流の佐山聡代表に打撃をマンツーマンで習い、シルバ対策を十分に練っていることを披露した。
■初代タイガーマスクも絶賛
初代タイガーマスクになった佐山代表は、イスに乗ったまま、曙の強烈なパンチをミットで受けた。2m30cmの身長を想定したシルバ対策なのだろう。
佐山代表は、パンチを受けるたびに大きく上体が揺れ動く。生徒たちは、不安定に揺れる佐山代表を、倒れないようにしっかりと支えた。「インサイド、インサイドを意識して。そうそう。いいよ」と構わずアドバイスを送り、曙のパンチがコンパクトになっていく。ミットを弾くようなジャブやワンツーは、すべてKO並みにパワーがあることが分かる。以前は、力任せに放っている印象があったが、脱力したパンチはスピードとパワーを秘めていた。
それでも曙は、「ダメだぁ〜」と叫ぶ。あとで聞いた話だと、今は追い込んでいるためか、体調を崩し、最悪のコンディションだったという。悪い状態ながらキレのあるパンチを打っていたのだから、本番は大いに期待できそうだ。
「たしかに、佐山先生に教えてもらってから、打撃がよくなっていますね。でも、それも試合で出せなかったら、仕方がないですから」と曙は、少しも浮かれている様子がない。
■曙は天才的なリズムがある
じつは、曙が佐山代表に打撃を習うようになったのは、今年の5月から。HERO'Sの前に1週間、教えてもらったことがキッカケになっている。それから何度も足を運ぶようになり、今では佐山代表との呼吸も抜群に合っているようだ。佐山代表は、次のように曙を評価した。
「本人を前にして言うのはあれなんですけど、横綱はもともと天才的なリズム、センスがあるんですよね。ただ、追い込んで、強引にパンチを打っていく悪い癖があります。力に頼って打ってしまうと、すぐにスタミナが切れるしガードも下がる。それを理論的に説明したら、すぐに順応してくれました。仮に横綱が相撲ではなく、ボクシングをやっていたら、間違いなく世界チャンピオンになっていたと思いますよ」
曙は、ミット打ちを２ラウンドこなし、掣圏真陰流のトーナメント王者の瓜田幸造と激しいスパーリングに取り組んだ。右ストレートを打たれて吹っ飛ばされた瓜田は、「脱力してパンチを打たれると、誰も相手がいないくらい強いと思います。とくにリズミカルにパンチを打ってくると、亀田興毅選手のようなボディへの連打が出ます」とビックリ発言。あれだけの体格でコンパクトにパンチを打てるようになれば、まさに鬼に金棒。寝技は、これまで通りに慧舟會で練習をしているため、曙に死角はなくなってきたようだ。
■最後まで諦めない試合をしたい
曙が佐山代表との練習で変わったのは、技術面だけではない。とくに精神面での変化が大きいと指摘する。
「横綱は最初、優しい性格なので、相手を殴れない悩みを持っているということを相談されました。ですから、自然とアグレッシブになれるように催眠療法に近いものもやりましたね。禅のようなものもやり、相手の威圧に対して、どんどん入っていけるようにしていきました」
佐山代表は、テクニック面だけではなく、精神面もサポートしてきた。それは、曙が自分の持っている実力を出し切れない悩みを十分に解消する効果があったのだろう。多いときには5分10Rもミットやスパーリングをこなし、スタミナ面での強化を図るとともに、脱力して闘うことを覚えてきたからなのだろう。あとは、母親のジャニスさんが他界されたことも大きく影響している。
「今は試合のことだけで頭が一杯。でも、考えなくても頭のどこかには（母親のことを）しまってある。勝ち負けは別にして、最後まで諦めないで試合をします。父も母も、すぐに諦める息子を産んだわけではないでしょうから」と曙。佐山代表とのコンビで、亡き母親のためにも曙が『Dynamite!!』での初勝利を勝ち取る!!■
»『FieLDS K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』対戦カード
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佐山代表は、ジャイアント・シルバを想定してイスに乗り、曙のパンチを受けた?
 曙は、掣圏真陰流王者の瓜田とスパーリング。右のパンチで吹っ飛ばした
 曙とともに、佐山代表も記者のインタビューに応じた
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| 曙と佐山代表。二人の相性は、抜群に合っているようだ |
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