『OLYMPIA HERO'S 2007開幕戦~名古屋初上陸~』(3月12日、名古屋市総合体育館レインボーホール)で柴田勝頼と闘う山本宜久が、中年の星になることを宣言した。前田日明スーパーバイザーの愛弟子でもある山本も、今年で37歳。ベテランとして、柴田を倒しにかかるつもりだ。


昨年は心と体がバラバラだった


――今年、初めての試合となりますが、昨年を振り返っていかがでしたか。
山本 去年はケガから復帰してバタバタしていた1年で、あっという間に過ぎたと思うんですけど、心と体がバラバラの状態で闘っていました。
――今はどうですか?
山本 練習する時間も、自分を見つめる期間もあったんで、腹をくくって自分を再認識できた、とてもいい期間でしたね。
――試合後、引退をほのめかせるようなコメントもありましたが。
山本 そのときだけはそう思いましたけどね。そのときは自分の心と体がマッチしなくて、試合でバラバラだった。でも、原因を受け入れて、試行錯誤しながらやってきました。
――心と体がバラバラというと…?
山本 自分で考えていることが、うまく伝達しないという部分もありましたし、気持ちが前に行っているけど体がついていかない、というのもありました。心と体が、うまく連動していなかった部分が多かったですね。
――ドン・フライ戦は、迫力のある激しい殴り合いでしたね。
山本 ダメですね、あれは。もっと自分のスタイルに持っていかないと…。ガマン比べ、当たったもん勝ちみたいになるので。もっと冷静に、そこに体もついていかないといけないですよね。自分の形に持っていけなかった。
――そのワケは?
山本 殴り合ったら面白いかな、という部分もあったんですけどね。
――相手の土俵で闘ってしまった?
山本 ドン・フライとサブミッションの攻防なんて見たくないでしょ、みたいな。ド突きあい、殴り合いでしょ、みたいなね(笑)。それでうまく行かなくて、空回りしているのもありましたね。やっぱり自分のスタイルを貫かないといけないのかなと感じました。
――その前のキム・ミンス戦は?
山本 あれはもう9割方、勝っていたんですけどね。“えぇっ!!”みたいな感じですよね。いろんな意味で、去年は良くも悪くも、経験させてもらいました。
――試合でなかなか結果を出せなかった苦しみもあったのでは?
山本 そのときは考えさせられる部分もあるんですけどね。でも、僕はもう経験もあるし、今年で37歳ですから。同じ世代や40代の年代の人たちってストレスが溜まっているから、過激な反応がしたいというのがあると思うんですよ。仕事に行きたくないな、疲れたな、上司がうるさいな、とかね。それを、アイツ頑張ってんじゃん、すごいじゃん、元気が出てきた、という熱いものを提供して、リング上で表現しないといけないんです。
――自分が落ち込んでいる場合じゃないと。
山本 そうですね。何かを感じて、お客さんに帰ってもらわなきゃいけないですから。自分の体がボロボロになっても、何か感じてくれればいいです。なおかつ、あの歳で勝ったよという結果もほしいですけどね。


軽はずみならば制裁します

――今回は柴田勝頼選手との対戦が決定しました。オファーを受けたときは?
山本 なんで柴田なの? なにか意味があるの? という感じです。彼が何を覚悟してリングに上がるのかが“?”なんですよ。プロレスはいいんです。僕もプロレスラーですからね。今、総合格闘技が盛り上がって、海外でも大ブレイクしているわけじゃないですか。それでおいしいところをちょっとかじる、というなら話が違うぞ、という思いです。僕はこの世界で15年もやっているし、認知されていない時代から強さだけを追い求めてきましたから。おいしい部分をかじりに来るなら、ここは僕の仕事場ですから。
――ナメられている感じがある?
山本 それはないと思うんですけどね。僕との対戦は彼の意図ではないと思いますけど、ここは僕のリングですから。軽はずみな気持ちで来るんなら、制裁します。もちろん、それは勝負の世界ですから。
――覚悟を感じたいと。
山本 感じ取れればいいんですけどね。どこまでもってくれるのか…。
――前田日明さん、船木誠勝さんの代理戦争という見方もされています。
山本 代理戦争ねぇ。まだ1年ですよね。1年で本物の信頼関係ってできるものじゃないんですよ。僕と前田さんは15年くらいですから。一時、離れた時期もあったんですけどね、ケンカとかして。そういうなかで、お互いに時間を経て、縁でまたこうして一緒になることもありますしね。たかが1年でどうなのかという疑問はあります。
――ケンカ別れをして、和解して絆がさらに深まったわけですね。
山本 別れても、お互いに離れられない部分があるんですよ。やっぱり師匠、弟子というのに変わりはないですしね。
――リングス時代からの関係ですから、絆は深いでしょうね。
山本 お互い、あんまり口では表現できないですけどね(笑)。でも、喋らなくても、意思の疎通はできています。
――今回の試合に関して、前田さんからはなんと?
山本 とくにないですね。
――柴田選手が船木さんと練習していて、不気味な部分はありますか。
山本 全然ないですね。
――柴田選手は100kgから87kgくらいまで体重を落としたそうです。
山本 僕と一緒ですね。僕も今、85kgですから…冗談ですよ(笑)。
――今は何kgですか?
山本 今は120kgくらいですね。
――そんなに!?
山本 それも冗談です(笑)。100kg行くか、行かないかくらいですよ。
――それがベスト体重?
山本 どうですかね。今のところは苦になっていないです。


僕もサクちゃんと練習してます

――柴田選手は船木さんとマンツーマンで練習しているそうです。本当に不気味さはないですか。
山本 ないですね。僕も昨日、サクちゃん(桜庭和志)とマンツーマンでやりましたよ(笑)。今まで外国人やトップの選手ともやっていますからね。誰に教えてもらおうと、だから何って感じに思っちゃうんですよ。
――グリーンボーイに見える。
山本 グリーンボーイというか…どうなんですかね。試合をするのは彼自身ですしね、船木さんじゃないですから。中途半端な気持ちで来ると痛い目に遭うぞ、みたいなね。
――ガツンとやると。
山本 やるでしょ、ガツンと。
――自分が勝っている姿しか想像できないのでしょうか?
山本 なにも想像してないですけど(笑)。平常心です。
――心配はまったくない?
山本 ないですね。柴田選手のことが心配なくらいです。どうなっちゃうんだろう、そんなに落としても大丈夫なのかなって。


若い世代は所やKIDに任せた

――彼の今後が心配?
山本 そこまではないですよ。勝負の世界は勝つか負けるかしかないんでね。負けたら負けたで、這い上がってくればいいと思いますしね。覚悟ですよね。どういう意気込みで総合に入ってくるのか。
――続けていく気があるのかと。
山本 そうですね。1回、負けたから終わりじゃなくて、これでやっていくんだと思わないとダメですよね。
――シビアですね。
山本 全然、認知されない頃からやっていましたからね。若い頃は強さだけを追及する、自分が強くなればいいんだという感じでしたね。周りが知ってる、知らないは別にして。今は海外でもブレイクして、日本でもテレビがついて、総合格闘技というのが若い人たちに根付いてきたかな、という感じですよね。
――リングスの頃は、今ほど世間に認知されていませんでしたか。
山本 されてないですね。総合格闘技って何?というのが多かったですから。でも、自分には自分の道があるということでやってきましたね。
――なるほど~。では、今年の目標をお願いします。
山本 ライトヘビー級のトーナメントがありますし、減量してチャンスがあれば出たいなと思っています。
――85kgまで!?
山本 グハハッ(爆笑)。落ちないっちゅーねん!って感じですね。それは冗談にしても、今年は腹をくくっています。
――腹をくくるというのは?
山本 ここぞというときに、微動だにしないということです。試合でもそうだし、普段からも自分の考え、信念というのを曲げないで貫いていくということですね。周りがなんと言おうと、自分の行く道を行きます。
――その先にあるのはなんですか。
山本 あんま格好いいこと言ってもね(笑)。輝くベルトとかね(笑)。とにかく、自分の世代の人たちに勇気を与えられるような選手として、試合を見せていきたいですね。アイツも頑張っているんだから自分も頑張んなきゃ、という熱いものを提供していきたいですね。
――“中年の星”になると。
山本 そうですね。中年族ですからね(笑)。中年の方から『行け~』って言われるような熱を出していきたいですね。若い人は所君とかKID君とかにまかせて、彼らはキャーキャー言ってもらってね。僕らは野太い声でね、『ヤマヨシー!!』みたいなね(笑)。そういうジャンルを確立していきたいッスね、グァッハッハ(爆笑)。■


» 『OLYMPIA HERO'S 2007 開幕戦 〜名古屋初上陸〜』実施概要
» 山本宜久:プロフィール


HERO'Sデビューの柴田勝頼を迎え撃つ山本宜久。先輩としての貫禄を見せられるか!?

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「中年の方に応援してもらいたいッスね」と豪快に笑う山本。もはや若いファンは眼中ナシ!?
 ph最近は桜庭とも練習しているという山本。ベテランならではの巧さも必見だ

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