PRIDEとHERO'Sだったら、PRIDEを選ぶ

──まずはHERO'Sの印象から教えていただけますか。
田村 印象は……あまりないんですよねぇ(苦笑)。テレビで数試合ほど拝見する機会があったんですけど、正直、一視聴者の感じで「あっ、こういうこともやっているんだな」って感じでしたから。
──PRIDEとは別のリングに上がることで、いつもと違った気持ちはありますか?
田村 今は平常心ですね。ただ、HERO'Sファンから見たら、ボクはアウェイ。会場にはボクのことを知らない人も多いでしょうし、試合当日、会場がどういう反応をするのか楽しみですね。
──「アウェイで闘う」ということに関してナーバスになったりはしませんか?
田村 いや、アウェイのほうが気は楽ですね。
──不安はないですか?
田村 正直、HERO'Sのリングに上がることは不安は不安なんですけど、やはりその不安は消さなければならない。ただ、その不安と比例して楽しみでもあるんです。プレッシャーが大きくなればなるほど、楽しみも大きくなりますからね。
──3月の名古屋大会で上山選手のセコンドに付かれましたけど、HERO'Sのファンの印象はどうでしたか?
田村 う~ん、もうちょっと元気があってもいいかな……とは感じましたね。
──PRIDEと比較してですか?
田村 ええ。PRIDEは第1試合から、いやオープニングからできあがっているんですよ。まあ、ファンが何を求めているかにもよると思いますし、作り手の思惑とかも当然あると思いますからね。単純にPRIDEと比較するのは「どうかな?」と思いますけど。
──田村選手が今回参戦することで、"HERO'S対PRIDE"という見方で見る人もいると思うんですけど、そういう見方に対してはいかがですか?
田村 そうですね。大きく分けると、そうなると思います。分かりやすいですしね。今回HERO'Sに上がりますけど、「PRIDEとHERO'S、どっちかを取れ!」って言われたら……、PRIDEのほうを選ぶと思うんです。PRIDEで育った中で今に至るんで、PRIDEのほうを選ぶと思います。


本能的、動物的な勘に頼ることになる

──試合まであとわずかですが、調整のほうは大丈夫でしょうか?
田村 練習は普段もやっているんですけど、試合に向けての練習というのとはまた違うので、あと1週間でなんとか調整しようと、はい。
──対策は考えていらっしゃいますか?
田村 対策は自分の本能的なもので挑もうと思います。普段練習でやっていることを試合で出せれば、はい。自分の理想というのは、どういった選手でも対応できるスタイルなんです。ボクの場合、対策ではまずはリスクを考える。金選手はパンチであったり蹴りだったり、特にコンビネーションのうまい選手だと思います。金選手みたいな打撃のスペシャリストだと、ホント一発が怖い。一番打撃で怖いのは、一発入っちゃえばそれで試合が終わってしまう可能性があることです。そのあたりが一番気を付けないといけないなと思います。これはもう本能的、動物的な勘に頼ることになると思います。
──フィニッシュへのイメージは?
田村 ないです(笑)。リングで向かい合って感じるものがあると思うんで、それからですね。
──元々、そういうことはあまり考えないほうですか?
田村 イメージはするんですけど、リスクのほうをすごくイメージしますね。まず、ファーストコンタクトで自分が何を出すかは、だいたい決めています。そこから先は体が反応すると思います。
──見ている人たちからすると、"打撃vs寝技"という図式が強くなると思うのですが?
田村 相手の出方によると思うんです。総合格闘技って、言葉のとおり"総合"なんで、打撃、テイクダウン、サブミッション。試合をやっていて瞬時に判断する能力が必要になってくるんで、打撃だけでもダメですし、打撃の重心でタックルに入られたらそのままテイクダウンされてしまう。ですから、金選手が何で倒そうとしてきているのかを感覚で判断すると思うので、その時、ボクの精神的な面、肉体的な面が衰えていなければ対応できると思います。
──金泰泳戦に向けて、一つ意気込みをお願いできますか?
田村 お互い力を出し切って、最後は握手で終わるのがいいなと思います。


ボクは性格悪くないですから(笑)

──11日に行われた記者会見では、「秋山選手に興味がある」という発言もありました。
田村 そうですね。「できる」って保証はまったくないんですけど、リストの中の一人ではあります。なんて言うんですかねぇ……お互いこう、イメージ的に性格が悪そうじゃないですか(苦笑)。イメージ的にですよ(笑)。ボクは性格悪くないですから(笑)。ヒール(悪役)対ヒーローだとありきたりですけど、そういうヒールとヒールが闘うと刺激的だと思うんです。まだ全然先のことになるでしょうし、すべてはタイミングでしょうね。今は金選手との試合に集中しています。
──昨年、かつての後輩でもある桜庭選手もHERO'Sに移籍されて、その流れもあって、秋山戦という話も出てきたと思うんですけど、やはり昨年大晦日の桜庭vs秋山戦というのはいろいろ考えるところがあったのでしょうか?
田村 あの試合が行われた時は、ボクはPRIDEのほうに出ていたんです。で、「負けた」っていう情報をPRIDEの会場だったさいたまスーパーアリーナで聞いたんですけど、ボクは桜庭が勝つと思っていたんです。けど……改めてビデオで見て、熱くなりましたね。桜庭に対して好きとか嫌いとかそういう問題じゃなくて、彼であっても彼でなくても同じような感情を持ったと思うんです。レフェリングであったり、桜庭のセコンドであったり、秋山選手の塗った塗っていないとか……すべてに対してムカつきましたね。ただ、さっきも言ったとおり、今は金選手との試合がすべてです。
──今は金戦に集中していると?
田村 それをクリアしないと、次はありませんからね。
――期待しています。ありがとうございました。■


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»田村潔司:プロフィール

田村潔司が遂にHERO'S参戦! 孤高の天才は今、何を思うのか?

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U-FILE CAMPのジム生を指導する田村

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「特にコンビネーションのうまい選手」。田村は金泰泳の印象についてこう語った

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「今回をクリアしないと、次はありませんから」。今は金戦に集中しているとコメントした田村

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