あのヒザ蹴りは「たまたま」じゃない

──まずは、改めて1回戦の永田克彦戦(7・16『OLYMPIA HERO'S 2007 ~ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦~』)を振り返ってみていかがですか?
宇野 トーナメントの初戦ということもあって、緊張したというか、動きが固かったっていう感じでしたね。
──7月の一夜明け会見では「動きが固くても勝てたというのはいい経験になりました」という言葉が印象的だったんですけど、固くなった要因は何だったと思いますか?
宇野 日本人対決という意味でのプレッシャーもありましたし、でも一番は「負けられない」というところでしょうね。負けてしまってはすべてが終わりになってしまうので、去年決勝で負けて、その時の悔しさから1年間、すごく頑張ってきましたし、それらを考えたら「負けられない」という気持ちが強くなってしまい、動きも固くなってしまいました。
──準決勝の相手がブラックマンバ選手に決定しました。大会に臨む心境としては、「ブラックマンバ戦に集中している」って感じなんでしょうか? それとも、「トーナメント2試合を勝ち抜く」といった感じなんでしょうか?
宇野 今はブラックマンバしか見えないです。まずはすべてをブラックマンバ戦に注ぎ込む、という心境ですね。
──ブラックマンバ選手とは再戦になりますが、昨年闘った時の印象を教えていただけますか?
宇野 「強い!」ですね。打撃も要注意です。所選手との試合でのヒザ蹴りで始まって、ボクも喰らってしまったんですけど、ああいったタイミングとか瞬発力は気を付けなければいけませんね。あのヒザ蹴りは「たまたま」って感じではないんですよ。それだけ練習していることだと思います。
──7月の所英男戦はブラックマンバ選手がバックマウントをキープし続けパウンドでKOという内容でした。
宇野 試合の直前だったのであまりちゃんとは見ていないんですけど、新しい柔術の先生を付けてすごく寝技の練習をやっているらしいですね。その成果があの試合で出たんでしょう。キープ力の強さもすごく感じたので、「進化しているな」って印象は受けましたね。
──昨年、宇野選手と闘った後、ブラックマンバ選手は宮田選手、所選手と闘いました。それらの試合を見て、昨年闘った時のマンバ選手と現在のマンバ選手はかなり違うと感じますか?
宇野 そうですね。全体的に進化していると思います。自分の弱点だと感じていたであろう寝技も強化していますからね。
──一番気をつけている部分はどこですか?
宇野 う~ん……。どこを気を付けたらいいと思いますか?(笑)。
──逆インタビューですね(笑)。前回の所戦の時に感じたのは、大会前々日の個別会見の時に、すごく入れ込んでいたんですね。「今は仕事があって週3日しか練習できないけど、今回のトーナメントに必ず優勝してこの境遇を変えてみせる!」って、すごくモチベーションが上がっている様子でした。あの勢いは要注意かと思うんですが……?
宇野 確かにあの勢いには気を付けなければいけないなと感じています。そういった気持ち的な部分というのは試合にすごく影響しますし、この前勝ったことによって自信も付いて、さらにモチベーションは上がっているでしょう。どうなるかはやってみないと分かりませんけど、自分的には去年の試合のようにはいかないと思っています。かなり厳しい試合になるんじゃないですかね。「前回勝っているから」という気持ちはまったくないですね。
──初めて闘う気持ちでいくと。
宇野 それに近いですね。1回やったことあるんですけど安心は絶対にしていませんし、むしろかなり警戒する部分が大きいです。


今回はむしろ楽しみのほうが大きい

──記者会見では前田日明HERO’Sスーパーバイザーからブラックマンバ選手のグラウンドでのヒジ攻撃に注意するように助言を受けていました。
宇野 気を付けなければいけない攻撃だと思いますね。HERO'Sでああいった形でヒジを出すのは恐らくブラックマンバ選手が初めてだと思いますし、「ヒジもある」ってことは頭の中に入れておかなければいけないなと思います。
──大会まで約1ヵ月ですが、一番力を入れようと思っている練習はなんですか?
宇野 何かに一番力を入れようというのではなく、一日一日を大切にしっかり練習することを大事にしようと思います。「あの練習をやっておけばよかった」っていうことがないように練習するだけですね。
──J.Z.とシャオリン、どちらが上がってくると思いますか?
宇野 正直、分からないですね。打撃でカルバンが勝ちそうな気もしますし、寝技になるとシャオリンなのかなぁ……とも思います。まあ、試合当日になったら気にしないと思いますね。自分のことでいっぱいいっぱいになりそうですから(苦笑)。
──昨年の借りを返すという意味でも、J.Z.に上がってきてほしいという気持ちはありますか?
宇野 もし先にボクが試合をして、先に決勝進出を決めたら、その時にはそう思うかもしれませんけど、今はまったくそういう気持ちはないです。
──前田SVも「宇野君の双肩に掛かっている」とコメントしていましたが、日本人選手一人というこの状況は相当なプレッシャーが掛かって……?
宇野 プレッシャーはあるんですけど、1回戦の永田戦の時のほうが、プレッシャーは強かったと思います。もちろんプレッシャーはありますけど、今回はむしろ楽しみのほうが大きいんですよ。「自分がどれだけできるか?」という部分ですごくワクワクしています。
──頼もしいですね! では、優勝するための最大のポイントはどこだと感じていまか?
宇野 やっぱり「一生懸命練習すること」だと思います。練習した成果をどれだけ出せるかがポイントだと思いますね。
──悔いを残すことなく練習して決勝トーナメントに挑むと。最後に試合に向けての意気込みをお願いします。
宇野 ベストの体調で1試合1試合できればいいなと思っています。ベルトに懸ける気持ちが伝わるような試合をします!
──ありがとうございました! 頑張ってください!!■

»『OLYMPIA HERO'S 2007 ~ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦~』実施概要
»
»プロフィール:宇野薫

ミドル級トーナメント準決勝の相手はブラックマンバに決定。一度闘い、勝利している相手だが、宇野に油断はない

photo
7・16横浜アリーナで行われた開幕戦では永田克彦と対戦。文句なしの判定勝利を収めたが、本人は「動きが固かった」と内容には不満

photo
「まずはすべてをブラックマンバ戦に注ぎ込む」。決勝のことは考えず、まずは準決勝に集中してトーナメントに臨むようだ
 photo
14日に行われた記者会見では、前田SVから所戦で見せたブラックマンバのヒジ攻撃に注意するようアドバイスを受けた。宇野本人もヒジには「気を付けなければいけないと思っています」と警戒している

photo
一昨年は3位、昨年は2位。3度目の正直! 宇野の初優勝に期待だ!!

Copyright (C) 2007 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2007 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。