■シュルトを破ったマウントパンチを披露
公開練習の開始時間より1時間ほど前から練習を行っていたハリトーノフ。その締めとばかりに集まった記者の前では、「CLUB VOLK HAN」主宰のヴォルク・ハン氏を相手にグラップリング中心のスパーリングを行った。
まずはハン氏が見本を見せるかのように関節技を取りに行くと、それを反復するかのように関節を取り返すハリトーノフ。サンボの使い手でもあるハリトーノフはヒザ十字固め、アキレス腱固めなどの足関節技で一本を奪うと、プロレス技である逆エビ固め、そして、かつてPRIDEのリングでセーム・シュルトを破った際のフィニッシュとなったマウントパンチまでもを披露した。このマウントパンチは、相手の片腕を掴み、もう片方の腕は足でホールドしながらパウンドを落とすという、相手にとってはガード不可能の恐るべき技だ。
■ヴォルク・ハン氏「闘う準備はできています」
公開練習終了後、ハン氏、チームメイトであるイリューヒン・ミーシャ、ボクシングのトレーナーであるオレッグ・モロゾフ氏とともにハリトーノフが囲み取材に応じた。
充実した練習を終えたハリトーノフは、「『CLUB VOLK HAN』では、柔道、レスリング、キックの選手もいるので、総合的に強くなれる環境があります。今日は試合前ということもあり1時間ほどの練習でしたが、普段は2時間以上みっちりと練習します」と満足げ。コンディションについては、「普通といったところでしょうか。試合から遠ざかっていたので最高潮とは言えませんが、悪くないコンディションですよ」と特に問題はないことを強調した。
今回の対戦相手であるアリスター・オーフレイムにはかつてPRIDEのリングで敗北を喫しているが、「あの時は受け身をし損なって右肩を脱臼してしまって負けたんです。今はもう怪我も治り、立ち技、寝技、すべてにおいて強化してきましたので、17日を楽しみにしていてください」と自信を漲らせていた。
ハリトーノフを指導するハン氏は、ハリトーノフのHERO'S参戦について、「我々は、セルゲイが17日に勝つだけじゃなく、HERO'Sでナンバーワンの選手にするためにサポートしています。闘う準備はできていますよ。やってくれるでしょう」と期待を寄せるた。モロゾフ氏も「私はセルゲイが2001年に軍に入隊した時から指導しています。指導し始めてすぐにセルゲイにはボクシングの才能があるということが分かり、以降、ずっと私がボクシングの指導をしています。HERO'Sでもセルゲイはやってくれると信じています」とコメントした。
■実弟アナトリー・ハリトーノフも来日
また、報道陣から、ロシア軍人でもあるハリトーノフに軍とプロとの両立について質問が飛ぶと、ハリトーノフは「確かに、両立は難しいです。上官に許可をもらうことは難しく、トップレベルの大会で勝つ姿を見せて許可してもらっている状況です。ですから、私はロシア軍パラシュート部隊を代表して闘っている、ということになりますね」と両立の難しさを告白。
ハン氏は「セルゲイはパラシュート部隊の誇りなのです。パラシュート部隊の若い将校からは羨望の眼差しで見られ、セルゲイが活躍することによって彼らの士気は高まる。だから、上官はセルゲイのプロとしての活動に許可を与えているんですよ」と補足した。
モロゾフ氏も「パラシュート部隊の若い将校たちの各部屋にはセルゲイの写真が飾ってあるほどです」と続くと、「その若い将校の一人が彼です」とハリトーノフから離れた位置にいた一人の青年を指さした。なんとその青年は、ハリトーノフの実弟、アナトリー・ハリトーノフ。
ロシア軍パラシュート部隊に所属するアナトリーは、183センチ、85キロの24歳。コマンドサンボでスポーツマスターの称号を獲得し、今後はMMA挑戦も視野に入れているという。「早く兄に並び立ちたいと思います」と言うアナトリーの前で、兄ハリトーノフは勝利を挙げることはできるのか!?
公開練習時に見せた仕上がりの良さ、「CLUB VOLK HAN」勢の自信に溢れるコメントを聞く限り、ハリトーノフに死角はなし……!? ハリトーノフのHERO'S第一戦目に注目だ!!■
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