■「僕のやることは変わらない」

　試合の直前とあって、この日、三崎が披露した練習はごく軽めのもの。福田力が持つミットに、まずはワンツーからの左ミドルキック、ワンツーから飛びヒザ蹴りというコンビネーション。三崎は一発一発、感触を確かめるように打撃を放っていく。
　続いてはグラウンドの攻防。三崎はガードポジションを取ると、福田が放つパウンドに合わせカウンターで三角絞め、腕十字、ヒザ十字固めなどを次々と極めていく。やはりこちらも一つ一つの技を確認するように、入念に仕掛けていった。
　対戦相手の秋山は、スタンドではショートレンジからのパンチ、グラウンドではパウンドを得意とする選手。この日、三崎が見せた動きは“秋山対策”とも取れるものだった。
　だが、三崎は記者陣の取材に答え、あくまでも「いつも通り」だと強調する。
「周りが注目するほど……といってはなんですけど。僕はどんな試合でも命がけでリングに上がってますから。そのために必死に練習してますし。そういう意味で、いつもと同じですね」
　秋山対策も、特に考えてはいないという三崎。相手が道衣を着用するかどうかも現在は分からないが、その点も意識してはいない。
「相手が道衣を着たとしても、柔道の試合をやるわけじゃないですから。相手のやることは変わるでしょうけど、僕のやることは変わらない。僕がやることは決まっていて、それをやるのが僕の課題です」

■「動物として、生き物としてどちらが強いか」

　秋山といえば、昨年大晦日の『Dynamite!!』における桜庭和志戦で身体にスキンクリームを塗り込む反則を犯し、無期限出場停止処分を下されている。いわば格闘技ファンにとって大ヒールといえる存在。対する三崎は、誌面で「（秋山は）復帰すべきじゃない」とも語っており、この試合は因縁マッチという見方もできる。しかし「試合はケンカじゃないですね。そう思ってた時期もありますけど、今はそういう気持ちで試合はしてない。ケンカじゃなく、人に何かを伝えるのが僕の使命だと思ってます」と三崎。
「（秋山に対して）憎しみがあるわけじゃない。いろいろな思いはありますし、応援してくれる人たちの思いもある。そういった思いは、試合が決まった時点ですべて胸にしまいこみました。そして、それをリングで解放させたい。ただ、自分を信じてリングに上がるからには自分に嘘はつけない。自分に正直な気持ちでリングに上がります」
　さまざまな思いをあえて胸に秘め、リングで爆発させるという三崎は、この一戦を本能の勝負、生き物としての優劣が問われる闘いだと言う。
「経験では自分が優っていると思いますけど、そこはアテにしてないです。リングで向かい合って、目を見たときに相手の本能や野生的なものを感じると思います。そこの部分での勝負ですね。動物として、生き物としてどちらが強いか、の闘い。相手（の本能）を読み取った方が勝つと思います」
　三崎は自身と秋山を「動物にたとえれば、僕もライオンだし彼もライオン」と言う。「違う群れのボス同士が闘うようなものです」。まさに両者は、総合格闘技における“百獣の王”ともいうべき存在。となれば、その闘いはおのずと凄惨なものとなるのではないか。“生き物”としての優劣を決める究極の闘いである以上、三崎vs秋山戦は試合というレベルを超えたものになる可能性が高い──。■

»『2007.12.31 Dynamite!! | SPECIAL SITE』
▼青木の対戦相手は、韓国のチョン・ブギョンに決定！
»『FieLDS やれんのか！大晦日！2007 Supported by M-1 GLOBAL』実施概要
»