『SoftBank presents Dynamite!! USA in association with ProElite』（6月2日＝現地時間、アメリカ／ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム）で、ユン・ドンシクと対戦するメルヴィン・マヌーフ。10万人の観衆の前でマヌーフはどんなファイトを見せるのか？　オランダでトレーニングに励むマヌーフを直撃した。

KOチャンスは集中力と決心力で作る

──コンディションはいかがですか？
マヌーフ　体も心も準備万端だ。
──大事な試合の前にはどうやってメンタル面を鍛えるんですか？
マヌーフ　俺は必ずハードトレーニングをすることにしてる。ハード過ぎて、やっているうちに「死にたい……」とさえ思ってくるんだ。だが、そのくらい追い詰めればメンタルもタフになるからね。
──では、MMAをやる上であなたのモットーとか信条はありますか？
マヌーフ　“ノーペイン・ノーゲイン（苦しみなくして、得るものなし）”。苦労をしなければ、何かを得ることなんてできない。勝ちたいからハードトレーニングをする。人生はそんなに甘くない。だから自分に厳しくしないといけないんだ。
──では、「KOで勝たないとダメだ」という気持ちはありますか？
マヌーフ　そんな気持ちはないけど、ほとんどの試合はKOで終わった。オレはチャンスがあれば見逃さない。血の匂いをかげば、サメは攻撃する。KOチャンスは集中力と決心力で作るんだ。
──集中力と決心力？
マヌーフ　例えば、この前の3月のHERO'Sでの高橋（義生）戦。彼はサウスポーだったんで、オレは右足で蹴っていた。右足で蹴り続けるうちに、彼はタックルを狙おうとしていたことに気づいた。だからオレはキックしてすぐ足を戻して右フックを放ったんだ。それでおしまいさ。
──高橋選手の動きを予想できたということですね。
マヌーフ　高橋がグラウンドに持って行きたかったことに気付いたんだよ。オレの打撃の圧力によって、彼は試合が難しくなってきていたからね。だから彼は得意のレスリングで勝負に来るだろうと予測したんだ。

2007年の目標？　もちろんHERO'S王者だ

──今の目標を教えていただけますか？
マヌーフ　一番になりたいね。K-1とHERO'Sで闘えることは光栄に思っている。観客のみんなは応援してくれるし、その応援があるからオレも「闘うぞ！」っていう気分になる。2007年の目標はHERO'Sのチャンピオンになることだ。去年はダメだったけど、今年こそはHERO'Sのタイトルをいただくぜ。みんなのために闘いたいね。
──みんな？
マヌーフ　自分のため、家族のため、ファンの“みんな”のために闘うってことさ。
──なるほど。ではご両親について教えていただけますか？
マヌーフ　両親はスリナムからオランダに渡った。オレが3歳の時だ。異国の地にやって来て、オレの両親は相当苦労したと思う。両親は離婚してしまったが、お袋はちゃんとオレたち兄弟を育ててくれた。オレたちのために、言葉では言い尽くせないほどの努力してくれたんだ。感謝で一杯だよ。
──そんなご両親に何かしてあげたいことはありますか？
マヌーフ　もうしているよ。オレが活躍していることに対して、「誇りを持っている」と言ってくれているんだ。家族はオレのすべてだ。すごく支えてくれる。女房も、兄弟も、お袋も、オレの子供もね。家族のサポートは凄くパワーにもなる。
──息子さんのミリオン君（5歳）がもし「ファイターになりたい」と言ったらなんと言いますか？
マヌーフ　子供の夢を奪うことはないよ。できる限りバックアップしていきたい。オレも夢があって、少しは実現したんだ。子供にも夢を叶えるってことを経験させてあげたいね。

10万人の観衆？　プレッシャーなんて感じないね

──『Dynamite!! USA』への出場が決定しました。
マヌーフ　出場することができてとても嬉しいよ。たくさんの選手の中からオレが選ばれたのは、とても名誉なことだと思っている。
──10万人を収容できるLAメモリアル・コロシアムという会場です。プレッシャーを感じますか？
マヌーフ　全然プレッシャーは感じないね。だって、オレは闘うのが大好きなんだ。100人の前だろうと、10万人の前であろうと、“闘う”ことに変わりはない。
──まだ対戦相手が決まっていませんが（※インタビュー時には対戦相手は未定。その後、相手はユン・ドンシクに決定）、調整はしづらくありませんか？
マヌーフ　関係ないね。だって、総合の試合をやることに変わりはないだろ？　「Mixed Martial Arts（総合格闘技）」。柔道も、ブラジリアン柔術も、キックボクシングも、レスリングもなんでもありだ。それらを全力でトレーニングするだけさ。
──相手はあまり関係ない？
マヌーフ　そうだね。いったんリングに上がったら、やることをやるだけだから。オレは負けない。相手はなんのためにリングに上がるか知ったこっちゃないが、オレはトロフイーを手に入れるために闘う。ハードな試合がしたい。リングに入ったら、アグレッシブに闘うだけだ。
──マヌーフ選手の究極の目標を教えてください。
マヌーフ　5年連続でHERO’Sで優勝してから、K-1チャンピオンになりたい。それが最高の理想のゴールだ。しかし、急いではいない。まずは2007年のHERO’Sで優勝したいね。そしたら、その後もっとハードルを高くするつもりだ。
──頑張ってください！　では対戦相手へのメッセージをお願いします。
マヌーフ　別に言うことはない。「オレはお前より強い」ということを、リングに上がってこの拳で分からせるだけだよ。■