4月19日、K-1オフィシャルジム/宮田和幸、公開練習

 5・3 KID戦へ向けて、宮田和幸はどんな秘策を用意しているのだろうか。K-1オフィシャルジムで行なわれた公開練習で、一体、宮田はどんな動きを見せてくるのか注目が集まった。試合まで2週間ということもあり、この日の宮田は「今、追い込んでいるので」と疲れ気味。「対策はべつに考えていませんよ。あまり考えると後手に回ることになるので。彼の試合も安廣戦を一度、観たくらいですから」とKID対策は、何も立てていないことを明かした。

 だが、それは準備をしっかりしてきたことの裏返しといってもいい。何しろ、宮田は今、キックボクシングの柏ジムで、多い日は週4回も打撃の特訓をしているからだ。じつは同ジムの川井りん太郎会長は、かつて魔裟斗が17歳から21歳まで所属していたことがあるキックの藤ジムで、ともに汗を流していたキックボクサー。川井会長いわく、若かりし頃の魔裟斗に打撃の基礎を教えたこともあるようだ。つまりKIDと闘うには、強力な助っ人をトレーナーに招いたことになる。

「得意な打撃? もちろんありますけど、ここでは言えません。分かってしまうと、まだかわされてしまうレベルですから」と謙遜しつつ、絶対に明かさない宮田。約2ヶ月間の短期集中の打撃トレーニングとなるが、この発言は、じつに不気味だ。ちなみに宮田は、3月のエリカス戦の前にもタイのイングラムジムで修行をしたことがあり、魔裟斗のかつてのトレーナーだった、チャーン氏にも指導してもらったという。偶然とはいえ、魔裟斗を教えたトレーナーに打撃を習うことは、大きなプラスになったことだろう。

 そして、公開練習ではその川井会長の持つミットへ、リズミカルにパンチと蹴りを叩き込んだ。「脱力が僕の課題」と話していた宮田だが、力を抜いた蹴りは、バランスがよく、完成度の高さを披露した。

「自分の理想が100としたら、まだ半分くらい。でも自分の能力にかけて、信じて闘います」と宮田。KIDよりも優っているものは何かと訊かれると、「考えたことはないけど、試合で負けたくないし、最終的には自分の方が上にいくだろうと思っている」と力強く語った。

 寝技の練習になると、矢野倍達を相手にパウンドからパスガードをしてのチョークスリーパー、またアンクルホールド、横三角絞めなど多彩な技を極めまくる。レスリング元五輪代表のプライドで闘うのではなく、よりコンプリートな総合格闘家を目指そうという姿勢がうかがえた。

 いつもはクールな宮田だが、ある記者が、“KID選手が候補の中から、宮田選手を選んだことになりますが、このことはどう思われますか?”と質問が飛ぶと、このときばかりは表情が険しくなる。
「俺をナメている? それはあるでしょう。あんまり感情的になるタイプではないんですけど、いい気分はしませんよ」と、珍しく怒りのコメントを吐き捨てた。会社を辞めて1年。宮田は2年目を迎え、今年が勝負の年だと思っている。下馬評を覆し、前回のエリカス・ペトライティス戦を一本勝ちで快勝した彼は、「KID選手に負ければ、ゼロからのスタートになるのは分かっています」と決死の覚悟で臨む。万全の態勢でリングに上がる宮田には、またしても番狂わせの匂いが漂っている。■

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>>宮田和幸:プロフィール

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矢野倍達にチョークを極める宮田。本番でKIDも仕留めるのか!?
脱力して打撃を出すことを心掛けている宮田は、スムーズに蹴りを使えるようになっている

宮田の得意のパターンは、タックルでテイクダウンを奪ってからのパウンド。KIDもパウンドが得意なだけに、この攻防は見ものだ

「延長戦を考えて、15分間、スタミナをつける練習をしています」と宮田。仕上がりは万全か

「レスリングだけならば、KID選手よりも上。でも、総合のレスリングになると分からない」と宮田は、KIDを高く評価している


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